注文住宅/家づくりのイメージづくり・アイデア

玄関の新しい考え方とつくり方

玄関のデザインを決める時、キッチンやリビングを考えるように関心を高めてデザインを決めているかといえば、それ程配慮していないようにも感じます。それは玄関を単に外と内をつなぐ場所と限定しているからです。しかしライフスタイルの変化と共に、玄関に求められる役割も少しずつ変化しているのです。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

玄関は住まいの第一印象を決めるところ

外から素敵な玄関をみるだけで室内も素敵だろうなと勝手に想像したり、何となく古びた玄関だと家全体も古びて見えたります。つまり玄関は住まいの第一印象を決める重要な役割をはたしていることが分かります。

玄関のデザインを決める時、キッチンやリビングを考えるように関心を高めてデザインを決めているかといえば、それ程配慮していないようにも感じます。それは玄関を単に外と内をつなぐ場所と限定しているからです。

しかしライフスタイルの変化と共に、玄関に求められる役割も少しずつ変化しているのです。

これまでの玄関の考え方

・外と内をつなぐ役割として
玄関の位置は道路とのつながり、リビングやダイニングなどパブリックゾーンとのつながり、寝室や子ども部屋、書斎などプライベートゾーンとのつながりなど、これらの動線を考えて決定してきました。

・情緒的な役割として
玄関は敷地の中で機能的な役割をはたすと同時に情緒的な役割も求められます。それは温かみがあってホッとするような空間づくりです。玄関に入って地窓から外の植物をみせる工夫や、玄関ホールに絵を飾ることなどです。

これからの玄関の考え方・つくり方

・外と内をつなぐ考え方
玄関を縁側やウッドデッキと同じように、住宅の中と外の間の中間領域的な位置づけとして捉える考え方で、玄関部屋という捉え方です。

たとえば土間。かつての日本家屋では玄関であり台所でもある三和土(たたき)土間を持つ家が多く見られましたが、最近こうした中間領域的良さをもう一度とり入れて、趣味の空間や応接の場所に利用しようとする関心が高いのです。

そうした流れを受けて、採風できる玄関ドアの需要が多く、また玄関ドアの断熱性能も向上しています。採風できる玄関ドアは、ドア本体に開き窓が設けてあり、カギをかけたまま風を通すことができるため、臭いがこもらないというメリットがあります。

近年の間取りは細かく区切るのではなく開放的でワンルーム的な傾向にあります。これは住まいの断熱性能がよくなってきたからですが、玄関においても玄関ドアの性能アップが玄関部屋という発想になってきたとも言えます。

<玄関土間の例>
ペットのスペースや雨の日の洗濯物の干し場など、土間は何でも使える多目的スペースです。
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・情緒的な考え方
外から帰ってきて自分の家に入った瞬間、人は誰でもホッとするものです。それは毎日その空間をみているので安心感が生まれるからです。ただ、ホッとすると同時に外から内への気持ちを切りかえる心理的移行を何で感じさせるかも大切なデザインキーワードです。

たとえば玄関ホールから見える中庭の木、玄関ホールからリビングまでいく廊下の長さなど心理的な奥行感を演出することなどがあります。

<四季の変化を感じさせホッとする玄関>
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<心理的な奥行感を演出した玄関と中庭の空間>
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玄関土間を間取りに活かす

敷地面積があまり広くない住宅地であれば玄関スペースを広くとることは難しいです。しかしあまり常識的な間取りにとらわれず、玄関土間をキッチンやダイニングとつなげて狭い敷地を上手に活用することも可能です。

<玄関土間を活かした間取り例>
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玄関をどのように位置づけするかは間取りを考える上でとても影響が大きいのです。それは外と内をつなぐ役割を担っているからです。


写真はすべて:(株)佐川旭建築研究所 設計

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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