飲酒・アルコール/飲酒・アルコールに関する豆知識

お酒のおつまみ、シメ…アルコールの疑問に回答!

これから忘年会や新年会で飲酒の機会が増えてきます。百薬の長とするか、百害あって一利なしにするかは飲酒の仕方次第です。今回は、飲酒時のつまみやシメについて説明したいと思います。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

アルコール

アルコールは体内に摂取されてから、主に胃で約20%、小腸上部で約80%が1~2時間でほぼ吸収され、肝臓で代謝されます。血液中のアルコールは飲酒後30分から2時間後にピークがあります。

アルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに代謝され、さらに2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)で酢酸に代謝されます。酢酸は筋肉で二酸化炭素と水に代謝され、その時にアルコール1gあたり約7カロリーの熱が発生します。

アルコール含有量はお酒によって異なり、純アルコールの比重は0.8です。つまり計算方法は、5%のビール350mlの場合 500×0.05×0.8 = 20gになります。

厚生労働省は「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である」としています。

基準飲酒量またはドリンクという考え方は、飲酒量を純アルコールに換算して分かりやすく表示する方法で、多くの国で採用されています。その基準となるのが、「standard drink(基準飲酒量またはドリンク)」で、各国でよく飲まれるお酒を中心に設定されています。例えば、米国では1ドリンクは14gのアルコールで、これはビール小ビン1本の量です。他に、オーストラリア、ニュージーランドは10g、デンマークは12g、英国は8gです。

日本でも、従来、基準飲酒量に代わるものとして、「単位」を使用してきました。1単位がおよそ日本酒1合に相当しているために、約20gのアルコール量になります。

基準飲酒量が飲酒の最小単位と考えられがちなので、過剰なアルコール摂取を防ぐ意味では、最小単位としては20gは多すぎると考えられます。そこで、世界に近い基準飲酒量とするなら、1ドリンク = 10gという基準量が提案されて使用されています。

これに基づくと、
  • ビール・発泡酒(5%)…250mL
  • チュウハイ(7%)…180mL
  • 焼酎(25%) …50mL
  • 日本酒(15%) …80mL(0.5合)
  • ウィスキー・ジンなど(40%)…30mL(シングル1杯)
  • ワイン(12%)… 100mL(ワイングラス1杯)
となります。つまり健康のためには、2ドリンクに留めておきたいものです。

お酒のつまみ

つまみ

お酒につまみが欲しいところです

■お酒を飲む時に、つまみが欲しくなりませんか?
…アルコールは消化酵素の分泌を促進して胃への血流を良くするため、胃の動きが活発になります。胃の動きが活発になると、胃の内容物は小腸に流れていくので、消化運動が活発になります。胃の内容物が無くなると空腹感が生じ、食欲増進につながります。そのため、つまみが欲しくなるわけです。

■お酒を飲む時に、何も食べないのは?
空腹時にお酒を飲むと、アルコールがすぐに小腸に流れ込むことになります。小腸でのアルコールの吸収は胃より多いので、血液中のアルコール濃度が上がるのも速くなります。つまり、酔いやすくなってしまうため、つまみは重要です。

■どんなつまみがいいのでしょうか?
…アルコールの吸収を抑える意味では、タンパク質が良いでしょう。脂肪もアルコールの吸収を抑えますが、カロリーが高くなります。また、お酒の種類によって異なります。日本酒であれば、糖分を控えた方がいいでしょうし、ビールであればプリン体の少ないものがいいでしょう。

…プリン体については、「高尿酸血症の治療と予防」 を参考に

お酒のシメ

■飲酒の後に、甘いものでシメをしていませんか?
…アルコールは、ブドウ糖に対してインスリンというホルモンの分泌を刺激する作用を強める働きがあります。そのため、お酒を飲むと、血糖が下がります。さらに、少量で習慣的に飲酒していると、血糖値が下がり、組織でのインスリンの働きが強くなり、血糖がさらに下がることになります。そのため、甘い物を欲しがる可能性があります。

ラーメン

シメにラーメンを食べませんか?

■飲酒の後に、ラーメンでシメをしていませんか?
…ラーメンの麺は主に炭水化物ですので、体内で消化されて吸収される時には糖分になります。お酒で血糖が下がることで、炭水化物を欲しがる可能性があります。ただし、カロリーには注意した方がいいでしょう。

アルコールの体への影響

お酒の成分であるアルコールで血液中の中性脂肪が増えます。そのために、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝、アルコール性肝炎になります。放置しておくと、慢性肝炎から肝臓の細胞が減って、肝硬変になってしまいます。

膵炎の原因として、アルコールがあります。急性膵炎は、急激な腹痛、嘔吐、発熱を起こし、緊急に治療を行う必要があります。アルコール性膵炎は、アルコールの飲み過ぎに多く、慢性膵炎になっています。慢性膵炎になると、膵臓ではインスリンが作られますから、インスリンが不足する糖尿病になってしまいます。慢性膵炎の人にアルコール依存症が多いです。

適量のアルコール摂取は、循環器疾患に保護的に働きますが、過度のアルコール摂取は、心筋梗塞などの循環器に関連する死亡率を上げてしまいます。

急性アルコール中毒については「お酒でかゆみ悪化?! 飲酒時の注意」を参照にしてください。

アルコール飲料であるお酒とは上手に付き合っていきたいものです。

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