私たちの消化管の中に棲む細菌
乳酸菌を含む食品は、腸内環境の改善に役立ち、様々な機能性があるのではないかと期待されています。
またそれぞれに酸や酸素に対して強い弱いという性質があるので、胃や十二指腸、小腸、大腸といった消化管の環境条件によって、棲んでいる細菌の数や種類もさまざまです。
腸内には大きく分けて、善玉菌(人にとって良い働きをする有用菌<ビフィズス菌、乳酸菌>)、そして悪玉菌(発がん物質や毒素を作る有害菌<ブドウ球菌、有毒株大腸菌など>)、また日和見菌(健康な時はどちらでもないけれど身体が弱ると悪い働きをする<無毒株大腸菌、連鎖球菌など>)が棲んでいます。このように、善玉菌と悪玉菌、中間的な日和見菌が微妙なバランスを保ちつつ腸内フローラが形成されています。
ビフィズス菌は乳酸菌
そもそも乳酸菌は、生物学上の固有の菌を指すものではなく、ブドウ糖や乳糖などから乳酸を作り出す菌の総称。乳酸菌を形状から分類すると、球状の乳酸球菌、円筒形の乳酸桿菌、そして棹状で「Y字・V字」のような枝分かれした形状のビフィズス菌があります。ビフィズス菌も、乳酸菌の一つです。乳酸球菌と乳酸桿菌は、乳酸のみを作り出すのですが、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を作り出します。また乳酸球菌と乳酸桿菌は、酸素があってもなくても生育できますが、ビフィズス菌は酸素があると生育できません。
このように形状や性質に違いがあるため、乳酸菌の仲間ではあるのですが、ひとくくりにはしないで「ビフィズス菌」として分類されることが多いのです。
この記事では性質などを説明するため、あえて「乳酸菌」と「ビフィズス菌」と分け、またそれらを合わせて「善玉菌」とします。
乳酸菌は総称ですから、球菌にはストレプトコックス、ラクトコックス、桿菌にはラクトバチルス、カルノバクテリウムなどの種類が多様にあり、またビフィズス菌にも約40種類あります。
ヒトの腸内で見られるビフィズス菌はビフィドバクテリウム属で、ビフィダム、ロンガム、ブレーベなど7~8菌種が見られ、腸管内にはビフィズス菌が乳酸菌の100~1万倍も多く棲んでいます。また乳幼児と成人では種類が異なり、乳児の腸にはほとんどビフィズス菌が占めていることがわかっています。