自分スタイルを貫く旅人探偵 金田一耕助
【ドラマにおける金田一耕助の特徴】1. ファッションに無頓着
2. 好奇心旺盛
3. ケンカは弱そう
【ドラマにおける金田一耕助の魅力】
横溝正史の描く閉鎖的な空間や薄気味悪い怪奇現象といった、おどろおどろしい世界観のなか、力まない探偵の姿に親近感を覚える人も少ないと思います。帽子、下駄、着物、トランク、お決まりのコスチュームで走る姿は愛らしく、トレードマークもモジャモジャの髪を掻きむしる仕草はユーモラスです。
事件現場となる館や屋敷の体裁にとらわれた住人たちの生き方に対し、体裁にとらわれない金田一耕助の生き方や、事件の背景にある哀しみに思いをはせる優しさも魅力です。
【金田一耕助はどう演じられたか】
ファッションに無頓着で清潔感や清涼感とは無縁に思える金田一耕助ですが、演じるのはイケメンが多め。
愛川欽也や片岡鶴太郎も演じてきましたが、やはりいちばん人気は1977年から2005年までを演じた古谷一行。ふだんはのらりくらりの金田一ですが、事件が起きると一変、鋭い洞察力や分析力、誰とでも打ち解けられる社交性を駆使し、事件に挑みます。アウトロー的人物からダンディーな商社マン、一物抱えた組織の上層部、ちょっと下心ありの刑事など、幅広く演じられる古谷一行が様々な顔を見せる金田一耕助を演じることは、自然なことと言えるでしょう。
近年では、稲垣吾郎(『稲垣吾郎の金田一耕助』シリーズ)や上川隆也(『女と愛とミステリー金田一耕助ファイル』シリーズ)、トホホ感とコメディー色を加味させた山下智久(『金田一耕助VS明智小五郎』)なども演じ、新しい金田一像を膨らませています。
『リーガルハイ』で堺雅人が見せた金田一耕助(パロディー)の着物、下駄、帽子の似合い方を思うと、「彼の金田一ドラマが見たい!」の気持ちが一気に高まります。トレードマークのモジャモジャ髪を選択肢に入れると、大泉洋という思いもフツフツ湧いてきます。金田一耕助、まだまだ広がりを見せそうです。
イメージが確立された作品を違う俳優が演じるリスクは小さくありません。しかしドラマがドラマとして発展する素晴らしさを考えると、ぜひいろんな俳優に演じてほしいと思います。