歴史上の人物、小説の主人公など、特定のキャラクターを何人もの人が演じることは少なくありません。視聴者にとって競演は興味深く見応えを感じるものですが、会ったことのないその人のイメージを壊すことなく、さらにその人らしく演じることはたやすいことではないはずです。どんなキャラクターがどう演じられてきたか、探ってみましょう。
カッコよさが突き抜ける 織田信長
【ドラマにおける信長の特徴】1. 小顔×チョビ髭×イケメン
2. 荒々しくてちょっと不器用、文化に対する意識が高い
3. やんちゃ感×孤高感
【ドラマにおける信長の魅力】
信長の魅力は人それぞれに信長像が存在することです。カッコよさを優先させる人、歴史の本の内容を優先させる人、時に狂気をにじませる演技力を優先させる人など、信長像は様々です。また、オジサン層にとっては、リーダー像として支持される信長ですが、女性にとっては小顔でイケメン、そしてお洒落な彼氏像として評価されます。
信長は絶対的なカリスマ性とともに、どこか孤高の切なさを感じさせる武将です。秀吉、家康に比べ女性票が高い要因は、そこにあるようです。
【信長はどう演じられてきたのか】
荒々しく冷酷な信長を演じた吉川晃司(『天地人』)や舘ひろし(『功名が辻』)、貫禄ある信長を演じた渡哲也(『秀吉』)など、秀吉や家康に比べ幅広い年齢層の俳優が信長を演じてきました。
信長は攻める部分と攻めが過剰にならないように抑止する部分が共存する人物、難しさを感じます。見た目も生き様もカッコイイという 視聴者の夢や憧れに近いものも確立されていて、それだけに視聴者の期待も大きく、俳優にとっても厳しい挑戦となるようです。
「で、あるか」の台詞が話題となった反町隆史演じる信長(『利家とまつ~加賀百万石物語~』)には凛とした趣がありました。落ち着いた声は若々しさに加え重量感があり、強い統率力を感じます。また、肩を揺らすことなく、下半身でしっかり歩く姿が美しく、威厳はもちろん過激だけではない奥深さを見せてくれました。
『敵は本能寺にあり』の玉木宏や、トヨタのCMで信長度に磨きをかけた『織田信長 天下を取ったバカ』の木村拓哉が演じる信長を改めて見たい気がします。もちろん、冒頭で紹介したイマ風の斬新な小栗信長も楽しみです。