フランスの王妃と英国女王の波乱万丈な人生
『マリー・アントワネット』(2006年度作品)
フランス王室とオーストリア王室間の政略結婚で14歳でフランスに嫁いだマリー・アントワネット(キルステン・ダンスト)の悲劇的な人生をソフィア・コッポラ監督が色鮮やかにポップに描いた作品。
フランスに嫁いだとはいえまだ十代。若い彼女ゆえの行動心理をコッポラ監督はしっかり捉えています。よく考えれば子供から大人へと羽ばたく時期ですからね。思春期にですよ、お城で監視付きの窮屈な生活を余儀なくされ、愛しているとは言い難い夫に寄り添うのはキツイでしょう。そんなアントワネットの鬱積した気持ちがこの映画での彼女の弾けっぷりから伺えます。
色や小道具使いが巧いコッポラ監督ゆえに、フワフワのドレス、パステルカラーのマカロンなど乙女心をくすぐる演出は随所に。男性が見ても「?」かもしれないけど、この映画のアントワネットは若い女子が好きそうです。
監督:ソフィア・コッポラ 出演:キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィスほか
『エリザベス』(1998年度作品)
16世紀のイングランドを舞台に、権力闘争で命を狙われるエリザベス(ケイト・ブランシェット)が、女の幸福よりも国政を選び女王になる姿を描いたロマンティックかつサスペンスフルな史劇。
運命とはいえ、王室に生まれたからには抗えない、普通の人生は送れない、エリザベスがその覚悟を決めるまでの物語ですね。運命を恨むよりも、受け入れて前を向くエリザベスのりりしさはまぶしいほど。心の中はズタズタに傷ついているであろうが、後戻りできないのならば、やるしかないでしょう!という彼女の姿勢は、優柔不断な心にカツ!を入れてくれそう。こういう人だから女王になれたのですね。何かいろいろ迷ったり、凹んだりしたときに見ると心がスクっと立ち上がる映画です。
監督:シェカール・カプール 出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ、クリストファー・エクルストン、リチャード・アッテンボローほか
※プリンセスとかクイーンとかファンタジーの世界では、みんなにチヤホヤされてうらやましいほどですが、、実在の人物の映画を見ると、なんと悲劇的なことか。国の為に生きることを運命づけられた人生はドラマティックだけど、切なすぎる!
今度は王や王子の映画もピックアップしたいと思います。