感情を制御する
投資とは、セルフマネジメントのゲームです。自分の感情を制御して、理性的にふるまう人が必ず勝ちます。経験の浅い人は、感情の影響を軽ろんじて、タイミングやテクニックに走りがちです。でも、収益の最大の源泉は自分自身の思考力。感情は最大の障害です。本人も扱いに手を焼く感情ですが、恐怖、どん欲、虚栄心などは、自分でも気が付くかもしれません。それらは、比較的、単純な感情だからです。
損を怖れない、がめつかない、他人の目を意識しないなど、いくつかの規律を持つことで、セルフコントロールが可能です。
自尊心の影響が気が付く
しかし、自尊心という感情には、人はなかなか気が付きません。ましてや、うぬぼれとなると、そこに気付きたくないもう一人の自分がいます。もっとも制御しにくい感情が自尊心かもしれません。自尊心が投資のジャマをしているときとは、こんなときです。
・自分の決めた方針が間違っているのに、自分で認められない。
→同じ失敗を繰り返します。
・人並みに成果に納得できなくて、引き際を逃してしまう。
→自己主張のために、危険な場所で賭けをしてしまいます。
・相場の意外性に、動けなくなる。
→妄想の中で、独善的な未来予想をしてしまいます。
・自分と違う投資対象や手法を選ぶ人を攻撃したくなる。
→投資に対してオープンスタンスに立てず、ひきこもってしまいます。
・自分を正当化する情報ばかり探してしまう。
→見たくない情報が目に入らなくなります。
皆さんには心当たりはありませんか?
自尊心の影響を補正する
もし、自尊心がジャマになっているとしたら、投資においては自分が凡庸な存在であるということに、ほとんどの人は気が付く必要があります。バフェットやソロスの本を読んで、投資の天才の思考を学ぶことも大事ですが、そのうんと手前の小石に現実の私たちは躓いてしまうからです。自分の実力に気付くために効果的な方法は、自分のやり方や成績を開示して、他人のそれと比べてみることです。たとえば、投資サークルに入るとか、投資家交流会に参加するとか、メンターやアドバイザーを持つことなどをしてみたら、ジャマをしている自尊心を発見できるでしょう。
最後にお断りしておきます。自分を尊大に見せたがる自尊心はジャマですが、ありのままの自分を受け入れる自己愛は絶対に必要です。