新型デミオは乗り心地とハンドリングのバランスがいい
フロントにマクファーソンストラット、リヤにトーションビームを採用する足まわりは、乗り心地と操縦安定性のバランスに優れている。このクラスのベンチマークであるフォルクスワーゲン・ポロと比べると乗り味にも好みがあるとはいえ、終始硬い印象のポロに対してデミオの方が若干バランスよく感じた。それよりも、ディーゼルとガソリンで約80kg異なるエンジン重量の差が走りの味に大きく影響していて、軽快感を重視するならガソリンに軍配が上がる。
そのほかでは、前席の位置をサイドまでギリギリに配置し、前輪を約80mm前に出すことで前席の足まわりを広くし、自然なペダル配置にしているという努力も評価すべきだろう。
自慢の躍動感のあるフォルムだが、前席の頭上空間は先代よりも20mm広くなっているのも開放感の高さに直結している。
一方の後席は、数値上は頭上空間やショルダーまわり、足元ともに若干拡大されているようだが、オーナーなら広くなったと気がつくかもしれないという程度。後席は、これくらいで十分という割り切りを感じさせる。
全方位ほぼ隙なく進化している新型デミオ。酷な注文かもしれないが、後席パッケージングに大きな革新ぶりが見られなかったのと、デザインコンシャスで少し斜め後方視界ががもう少しかな、と感じた。……が、これはもちろん、ほかの面の進化の振り幅が大きいからかもしれない。
いずれにしても新型デミオは、国産コンパクトカーとの争いから性能・装備面では輸入車に追いついている。あとは、どう選ばれるかはまた別の話だが、気になるなら購入しても後悔はしない高い完成度なのは間違いない。