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視聴率はイケてないけど、実はイカした必見ドラマ3選(2ページ目)

低視聴率という理由で、なんとなく観ていなかったドラマはありませんか?そんなドラマのなかには伝説と呼ばれる作品や数々の賞を受賞したものもあります。秋の夜長、見逃したドラマを楽しんではいかがでしょうか。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

さらけ出しが連鎖するピュアな教室 『 鈴木先生 』

◇平均視聴率2.06% (ビデオリサーチ社による関東地区のもの)
◇主演長谷川博己 2011年4月~6月 月曜22:00 テレビ東京系列にて放送 
◇第49回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞、第38階放送文化基金賞テレビドラマ番組賞ほか 受賞

視聴率がよくないにも関わらず、数々の賞を受賞し、映画化もされた作品。いかに評価が高いかわかります。中学生特有の生きづらさを背景に、2年A組で日々起こるさまざまな問題に対して、独自の教育理論で切り込む担任鈴木章の姿が描かれます。

そして、最終回の「鈴木裁判」はドラマファン、原作(漫画)ファンの間で今も語り継がれる伝説となりました。それを支えたものを考えてみます。

■脚本家 古沢良太の言霊
『リーガル・ハイ』や『外事警察』を手掛けたことでも知られる古沢良太は、物語のリズムやテンポを絶妙にコントロールできる脚本家です。

クラスの水面下で進行していた問題が表面化し、今まで平穏だった人間関係が崩れ始めるといった状況は、いつの時代、どこの中学校でもあること。2年A組もその例にもれず様々な問題を抱え、ときに生徒同士がけしかけ、煽り、時に見下す言葉を乱暴にぶつけ合います。

観ている方も心が荒みます。しかしあえて、古沢良太はそこをしっかりと台詞にします。生徒たちの台詞は恐ろしく生々しいのに、どこまでも透明です。

場面が長すぎると視聴者は逃げますし、短すぎると物足りなさを感じるもの。脚本は「ちょうどいい」を巧みに調整し、教室を再生させる“言葉”が生徒たちのなかから芽生えるタイミングを丁寧にとらえます。

古沢良太の描く『鈴木先生』は、教室の生命を全方位から映し、中学生の彼らにしか表現できないかけがえのない輝きを見事に表現していると言えるでしょう。

■最終回「鈴木裁判」で描かれた生徒たちの選択
学園ドラマは先生の手腕に注目されがちですが、ドラマ『鈴木先生』では、子どもたちが自分たちの力で自立していく過程を描いています。

最終回「鈴木裁判」では、先生の「できちゃった結婚」をめぐり正か否かを話し合います。婚前交渉や避妊について論点は拡大し、教室全体が感情を高ぶらせながらヒートアップしていきます。

やがてセックスへの欲望、避妊の否定など、中学2年生の思いはさらけ出され、連鎖が始まります。その雰囲気に耐えられない者、混乱し始める者も主張します。2年A組の35人、一人ひとりが違う立場で意見をしっかり持っていることに、たくましさを感じます。

できることなら遠ざけたいテーマや中学生の抑えきれない衝動にきちんと向き合った作品であることに、驚きと感動を覚えます。

また、視聴者は中学生という多感で不安定な季節を、大人として経験することになります。反発していた先生やクラスメートを理解できたり、かつての自分を彼らに投じ、応援したり安心したりする愛おしい気持ちになったり、新しい自分を発見し新鮮に感じるでしょう。それも『鈴木先生』の魅力です。
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