いじめ問題・対策/いじめ予防

いじめている自覚のない子供に親が教えるべきこと

子どもたちの中には、「いじめ」というものはからかいや意地悪の延長のように捉えていて、人の心を傷つけ、時には人の将来を奪ってしまう可能性もあることが分かっていない子がいるようです。「いじめはいけない」という自覚がない子たちに、親が教えるべきこととは?

小野田 真里子

執筆者:小野田 真里子

いじめ問題・対策ガイド

「いじめはいけない」という自覚のない子供たち

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いじめはいけないと伝えよう

学校や公民館で、子供たちに「いじめ防止授業」というものをすると、子どもたちは「いじめ」というものは、「からかい」や「意地悪」の延長のように捉えていて、本当にいけないことをしているという自覚はあまりないように感じます。

今はテレビをつければ、人を困らせて笑うという風潮もあるため、子供たちの中で善悪の価値基準が揺らいでいるのかもしれませんね。

社会で許されないことは、学校の中でも許されない

当然のことですが、学校の外で「犯罪」と言われることは、学校のなかでも「犯罪」です。具体的には、こんなことをしたら社会では犯罪と認定されます。
  • トイレの壁、インターネットのサイトなど、皆が見るところにひとの悪口を書く
    →名誉毀損や器物損壊罪
  • 小さな額でもおどしてお金をまきあげる → 恐喝罪
  • ことばだけでもおどしたり、根も葉もないといううわさを流したりする
    →恐喝罪や名誉毀損罪
  • 援助交際(児童売買春) →児童福祉法違反
  • 暴力をふるう → 暴行罪
  • 集団で暴力をふるう → 暴力罪や共同不法行為
  • 相手にけがをさせる → 暴行致死罪
  • いやがっている人の下着姿や裸の写真を撮ったり盗撮したりする
    →強制わいせつ罪、迷惑防止条例違反
  • 万引きをさせる → 恐喝罪や共犯として窃盗罪
  • ナイフなどを必要もないのに持ち歩く → 銃刀法違反
  • 電話やメールで相手をうつ状態に追い込む → 傷害罪
  • 他人のHPを書き換えたり、他人のID やパスワードを使ってなりすます
    →不正アクセス禁止法違反
街で暴力事件を見かけたら、大人や警察に知らせるのが当たり前のように、学校の中でいじめ、暴力、犯罪行為を見かけたら、先生に知らせるのは当たり前のことです。

子供でも、ものを盗んだり、人やものを傷つけたりすれば、児童相談所に通報されたり、刑事罰を科せられることもあります。保護者や本人が弁償をしなければならないこともあります。

新聞記事から、子供が起こした事件を集めて、同じくらいの年齢の子供が起こした事件と関連させて話してみるとよいでしょう。

相手の心を傷つけるということは

社会で許されないことは、学校の中でも許されないという観点でいじめはいけないということを子供たちに伝えることも大事ですが、もう一点、「人の心を傷つけることはいけない」という点を伝えていただけるとよいと思います。人の心には夢を描く力があります。子供たちも将来の夢を描くことができます。しかし、いじめというのは他の子供たちの夢を描くための心も壊してしまうのだということを伝えていただければと思います。

いじめ防止活動をしていく中で、子供の頃のいじめにあったトラウマで苦しみながらも一生懸命生きていこうとしている人たちにもたくさん出会いました。中には、いじめにあった経験を生かして教師を志している人もいます。頑張っている中で、教育実習のときにフラッシュバック(強いトラウマ体験—心的外傷—を受けた場合に、後になってその記憶が突然かつ非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象。)に襲われ、現在休職中の方もいらっしゃいます。いじめにより人の心を傷つけることは、人一人の将来を奪ってしまう可能性のある行為なのだということをお子様と話し合っていただく機会をもっていただくことで、いじめが少しでも減ることを願っています。
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