深夜直前に昼ごはんを紹介する異色の夜食テロ
深夜番組というには少し早い夜10時55分スタートですが、数少ない夜食テロバラエティーといえるのが、NHKで毎週月曜に放送されている「サラメシ」です。サラはサラリーマンの略ですが、番組では老若男女、職業にかかわらず、いまを生きる人々の昼ご飯にスポットを当て、午後への活力をチャージする姿を描きます。毎回、数組の昼食をハイトーンボイスで流れるように紹介するナレーションは、俳優の中井貴一。ドラマ等とは明らかに使い分けているあの声を聞くと、なぜだか食欲が増してくるのは、パブロフの犬的なものでしょうか? それにしても、夜中に昼メシの番組って何となくアンバランスですが、ご心配なく。再放送は毎週木曜午後0時20分からと、しっかりお昼時のオンエアです。
これを見ていて、つい思ってしまうのが「グルメレポーターってホントはいらないんじゃないか?」ってこと。一般ピープルがガシガシと昼飯を食い、そこに絶妙なナレーションがかぶれば、それだけで、十分成立すると思うんですが。まあ既得権益を荒らすような真似はやめときましょう。
とがった企画でも成立する!?
過去には、明らかに低予算と分かるものの、とんでもなく面白い「夜食テロ番組」(当時はそんな言葉なかったけど)がありました。2009年から10年にかけてにオンエアされた「寺門ジモンの取材拒否の店」です。金曜の深夜3時台というとんでもなく深い時間帯でしたが、今まで見たことの無い刺激的な番組でした。タイトルどおり、日頃からマスコミに取材拒否している名店に対して、ダチョウ倶楽部の寺門ジモンが、出演交渉するところから始まります。店はもちろん、住所が分かりそうなものすべてにモザイクが掛かっていて、晴れて店主のオーケーが出ると、モザイクが取れるという手法は、おそらくこの番組が元祖でしょう。
中には頑固な店主が「料理は映してもいいが、店はダメ」と無理を言い、最後まで大部分モザイクのまま終了するというアバンギャルドな回もあり、強く記憶に残ってます。秀逸なアイデアさえあれば、面白い番組作りは可能だという実例でしょう。料理を美味しく見せるという基本さえ押さえれば、思い切った企画であっても見てもらえるはず。ということで、「夜食テロ」とネット上で総攻撃されるような深夜バラエティーを、ぜひとも希望します。