かわいい我が子のはずなのに……
子どもの遺体には複数のアザがあったとのことで、日常的に虐待が行われていた可能性は否めません。しかし「言うことをきかずに暴れたので突き飛ばした」という供述に、他人事ではないと感じた方も多いのではないでしょうか。子育てをしていると、思わず子どもに手をあげたくなる時はあるかもしれません。
手をあげたくなるのは、どういう時?
殴る蹴るまではいかなくても、子どもを思わず叩きそうになった経験を持つママは少なくないことでしょう。それはどういう時かと考えると「子どもが自分の思い通りにならなかった時」ではないでしょうか。「いろいろ試行錯誤しているけれど、うまくいかなくて、ついつい手が出てしまう」と語る、落ち着きのない子をもつママに、どんなことを試しているかをたずねたことがあります。すると、「怒る、言いきかせる、無視する、脅す、おだてる、ご褒美をちらつかせる」などの方法が出てきました。しかし、これらはいずれも子どもをコントロールするためのバリエーションなのですよね。
多くの親は、子どもに手をあげるのはいけないことだと思っていますから、あの手この手で子どもに言うことをきかせようとします。しかし、子どもは一向に思い通りにならない。頑張れば頑張るほど、怒りも出てくることでしょう。
子どもの虐待死事件で加害者の親の供述に散見されるのは「躾(しつけ)のつもりだった」というものですが、そもそも「躾」も、子どもを自分の思う「いい子」に育てるためのもの、ですよね。子どものためを思ってのものだったとしても。「躾」が虐待にエスカレートしがちなのは、「躾」そのものが、子どもに対するコントロールだからなのです。
注意や指導は必要でしょう。しかし暴力を伴う必要はないのです。
手をあげたくなったら、別の部屋に行くなどして子どもから離れましょう。5分もすれば激しい怒りは収まるはずです。深呼吸できるようになったら「子どもの言い分」を聞いてみましょう。
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