子育て/児童虐待

母が子どもに手をあげるとき~親子関係回復のヒント~(2ページ目)

8月末、群馬の自宅で「言うことをきかずに暴れた」三男(3)の胸を突き飛ばし、頭を強く打って死亡させたとして、4人の子どもを子育て中の32歳の母親が逮捕されました。子どもに手をあげたくなるのはどういう時なのか?手をあげてしまった後、子どもと関係を築き直すにはどうすればいいのか?などについて考えます。

福田 由紀子

執筆者:福田 由紀子

臨床心理士/メンタルケア・子育てガイド

虐待リスクを上げる3つの要因

砂場で遊ぶ子ども

虐待は、どの家庭にも起こり得ます

母親による子ども虐待の要因には、大きく3つあると言われています。

  • 子ども側の要因
乳児期の子どもや、病気や障害を持っていたりして、その子の個性が育てにくさにつながっている場合などです。

  • 母親側の要因
望まない妊娠だったり、心身の病気による不安定さが、怒りの爆発やネグレクト(育児放棄)を引き起こすこともあるでしょう。また、母親自身が虐待を受けて育っていたり、若すぎる妊娠出産で、適切な養育方法がわからない場合などがあげられます。

  • 環境要因
経済的な困窮や、不安定な家庭環境、子育てを手助けしてくれる人が周りにおらず、母親が「ひとりぼっち」だと感じている場合などです。子育てに無関心だったり、勝手なことばかり言って母親を追いつめている周囲が虐待の要因になっていることも少なくありません。


これらの要因があることは暴力の言い訳にはなりませんが、要因別に問題を分解してみると、解決の糸口が見えやすくなります。

父親の存在が軽視されている?

父と子どもたち

子育てに関わっているのは母親だけではありません

子どもへの暴力に悩んでいる母親から相談を受けたとき、必ず確認するのは、夫からのDV被害の有無です。暴力や支配は、水が低きに流れるように、より弱い者へと簡単に連鎖していくからです。

DVがある場合、母子が父親から離れて安全に生活できるようになると、母からの暴力がおさまるケースは少なくありません。しかし、母親による虐待死事件のニュースでは、父親のことはほとんど報道されません。

群馬の事件でも、報道からわかったのは、母子と同居していたことと死亡させた現場にはいなかったことだけで、父親像は私にはまったくつかめませんでした。

一方、父親による虐待死事件の場合は、母親への非難が必ずと言っていいほど起こります。このような非対称を目の当たりにするたび、まだまだ子育ては「母親の問題」とされているのだなと感じます。

子育てに関わる父親が当たり前になってきつつあるのに、社会的には依然として父親の存在が軽視されている、と言えるかもしれません。

>> 子どもに手をあげてしまったら
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