「取引態様」の違いは仲介手数料に表れる
賃貸物件を借りるとき、不動産会社がどのような立場にいるのかを確認するのは、「取引態様」を見ればOKです。取引態様には、「貸主」「代理」「仲介」の3種類がありますが、これらの違いはいったいどこに影響するのでしょうか?
(「取引態様」についてもっと知りたい!→「取引態様」ってなに?)
いちばんの違いは、仲介手数料の有無。貸主は自分の物件を借主に貸すのですから、間に「仲介」する人がいなく、もちろん仲介手数料は発生しません。一方、仲介は「仲介」することが業務ですから仲介手数料は発生します。代理の場合は、貸主の代わりを務めて仲立ちをしますので、原則的には仲介手数料は必要ですが、貸主との取り決めによっては不要の場合もあります。
宅建業法では第46条に、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。」と定められています。
そして国土交通省の告示で、(少し難しいですが)
『賃貸の報酬額に関しては賃貸の媒介に関する報酬の額として宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ)の一月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.525倍に相当する金額以内とする。』
と定められています。
ここで、注目したいのが、最後のほうに書かれている「・・・当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1カ月分の0.525倍に相当する金額以内とする」というあたりのこと。
本来ならば、仲介会社が受け取る報酬額は依頼者双方の合計で1.05ヵ月分であり、貸主からも借主からもそれぞれ2分の1ずつもらうはずなのですが、「当該依頼者の承諾を得ていれば」2分の1を超えてもOKと理解でき、現状ではその報酬額を借主がすべて負担しているのが通常となってしまっています。
よって、現状では借主の初期費用には「仲介手数料1ヵ月分」が必要になっているケースが多いのですが、将来的に空室が増加して借主の力が強くなっていけば、貸主の仲介手数料負担割合が増加していく(=借主が支払う仲介手数料が下がる)事は、考えられることでしょう。
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