税金/サラリーマンの税金

サラリーマンの副業で「必要経費」とできるもの

必要経費とは、税法上の規定によると「所得を生ずべき業務について生じた費用」。会社員が副業で収入を得た場合、どこからどこまでが「必要経費」に含まれるのか判断に迷う人も多いでしょう。いくつかの事例に沿って、その判断基準を説明します。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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必要経費の範囲は副業の内容によって異なる

身だしなみが業務に必要という業界も確かにあります

身だしなみが業務に必要という業界も確かにあります

そもそも、必要経費とは何を指すのでしょうか。税法上の規定によると、「所得を生ずべき業務について生じた費用」。これだけでは「必要経費」が具体的に何をさすのか疑問に思う人も多いでしょう。

必要経費は一般的に、「業務に関連がある費用」あるいは「業務上の必要性がある費用」と解釈されています。そのため、職業や業態、ビジネスモデルによって幅があって然るべきです。

知人にビューティカウンセラーからネイリストになった人がいるのですが、その方は勤務していた頃から、美容専門誌のみならず、ヘアカタログやファッション誌、結婚やブライダルに至るまであらゆる雑誌に目を通していたそうです。その姿勢は会社を辞めて独立した今でも変わりません。また、あるダンサーの方は、レッスンの進め方や話しかけ方、間の取り方などを取り入れるために、同業者のレッスンに一受講生として潜り込んでいるそうです。

前者でいえば、彼女の読んでいる雑誌は我々の業界でいう税務や会計の専門誌となんら変わりありません。後者でいえば、我々が税務や法律の専門家のセミナーを受け、日々情報のブラッシュアップを受けるのと同じことです。したがって、いずれも「業務に関連がある費用」あるいは「業務上の必要性がある費用」といえるでしょう。この考え方は事業であろうと、副業であろうと同様です。

業務に必要ないものは必要経費にならない

一方、「必要経費とできないもの」についても、税法や判例等から明らかになっています。

たとえば、不動産投資やFX投資をしている人が関連のセミナーに出席した場合、その費用は必要経費となります。しかし、親睦などの目的でロータリークラブやライオンズクラブに入会した場合、その入会金や会費は、その人の個人的な活動にすぎず、業務との直接的な結びつきはない(=必要経費として認められない)との判例が出ています。

業務に関連する費用ですので、生活費も必要経費には含まれません。たとえば、日用の衣類、雑貨、食費、子どもの学費、遊興費、保険料などの支払いです。

法令違反による費用も必要経費には含まれない

打ち合わせ中に駐車違反の取り締まりにあい、交通反則金を支払ったというケースはどうでしょうか。この場合、その違反者に対する罰則の効果を減殺させないため、必要経費にはできないとされています。

ただし、駐車違反にともなってレッカーされた場合、レッカー車代はその処理に要した費用であり、交通反則金とは意味合いが異なります。そのため、打ち合わせ中や得意先の訪問中など、業務との関連があるなら必要経費とすることができます。

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