『あかちゃんのおと』ってどんな音?
「あかちゃんのおと」と聞いて、どんな音を思い浮かべますか? 私は、赤ちゃんがおなかの中にいる時の健診時に聴いた「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ」という力強い心臓の音が浮かびました。おなかにいる時から、後々になっても忘れがたい音を聴かせてくれた赤ちゃんは、誕生と同時に様々な「音」を生み出す存在になります。やっぱり第一弾は「オギャー!」かな。どんどん成長していく赤ちゃんが日々生み出すたくさんの音が、楽しくてたまらない様子の赤ちゃんの笑顔や仕草と共に描かれている絵本『あかちゃんのおと』。赤ちゃんを迎えたお母さん、お父さんや、下の子を迎えたお子さんたちにとって、赤ちゃんの存在をより愛しく感じさせてくれる絵本だと思います。
成長と共にバラエティに富んでいく「あかちゃんのおと」
まだ、泣いて飲んでおしっこやウンチをして、寝ているばかりの赤ちゃんから聞こえてくる音。色々な音がありますね。赤ちゃんとの生活は、お世話続きでバタバタと過ぎていきます。特に、多くの場合、家族で一番赤ちゃんとの時間が長いお母さんは、赤ちゃんと2人きりの時間に孤独を感じることもあるでしょう。でもそんな時、赤ちゃんの発するにおいや、常に全力で体を動かしたり、声を発したりする様子に、ふと力強い生命力を感じて癒されることもあると思います。そして3~4ヵ月を過ぎれば、日々表情や動きもどんどん豊かになっていき、ますます赤ちゃんが生み出す音にはバリエーションが増えていきます。「がらがらがら」「ぺろぺろぺろ」「びりびりびり」……。まだ絵本をめくっていない皆さんも、この音を生み出している赤ちゃんの仕草が目に浮かんできませんか?
「あかちゃんのおと」がなくなっていっても……
やがて1歳を迎え、2歳を迎え……。気づけば少なくなってきている「あかちゃんのおと」。それに代わって、もっとやんちゃでたくましい音にあふれている我が子が目の前にいる日が、思っていたよりもあっという間にやってきます。そんな頃にもお母さんやお父さんがこの絵本を手に取る機会があれば、赤ちゃん期とは違った大変さが増えてくる育児の中でも、ここまで力強く成長してきた我が子の今までの足跡に色々な思いがよみがえり、日々へのエールにもなるのではないかと感じました。また、赤ちゃん期を過ぎたお子さんに赤ちゃんに関する絵本を読む機会はあまりないかもしれませんが、ぜひ、こんな素朴な絵本を通して、「あなたが赤ちゃんだった時、こんなことができるようになって喜んだり驚いたりあたふたしたり、色々なことがあったんだよ!」と思い出話をするのも、楽しいひと時になるかもしれません。子どもって、結構思い出話好きで、自分のもっと小さい時の頃をお母さんやお父さんから聞くのが大好きなんですよ!
下の子を迎えたお子さんと一緒に読んで、あなたもこんなたくさんの音でお母さんやお父さんたちを毎日楽しませてくれたんだよ、と話してみるのも、親子ともに心に残っていくひとコマになるかもしれません。