『ああ、たいくつだ』の気持ちが生んだ壮大な作品!

庭の芝生で、「ああ、たいくつだ!」とぼやく双子の兄弟。年のころは、小学校の高学年~中学生? 目の前にはたくさんの遊び道具。スポーツ用具も放り出されたままです。2人で遊べば色々なことができそうなのに、何とまあ無気力そうな2人……。そんな双子の兄弟が大きな物置で見つけたあるものから、すばらしすぎる計画が進み始めました! 2人は家の中や外にある色々な物を集めて、何と飛行機を完成させるのです。それも本当に飛んでしまう飛行機を! 痛快な展開に、細かい道具や材料から登場人物の動きや表情まで細かく書き込まれた絵本は、読むたびに新しい発見があり、幅広い年代で楽しめるでしょう。



やる時はやる! 双子君の創造力に仰天

ひとたび真剣にやる気モードになったら、この2人はすごい! 飛行機の本を読んで仕組みをしっかり理解しながら、組み立て作業をしていくのです。道具も材料も、全部家の中や周辺にある物で。あらあら、庭の柵や赤ちゃんのうばぐるまの車輪まではずしてしまいました。ちょうつがいやねじ、それに窓なんて、そんなところから外してしまって、後でどんなことになるか知らないよ! という思いがよぎりますが、それよりも、これから出来上がっていく飛行機への期待感の方が断然大きく、そんなことがちっぽけに思えてきます。そして完成した飛行機の見事さ、空を悠々と飛ぶさまには、拍手を送りたくなります。どうなるんだろうと息を飲んで見守ってきた読み手の子どもたちも、大興奮でしょうね。

しかしやっぱり、怒られてしまうのです……。家の中の異変に仰天し、子どもたちの不在に不安がピークに達した、彼らを愛するお父さんとお母さんに。


将来が楽しみな双子君!

2人が無事着地して、叱ったり泣いて抱きしめて喜んだりしたお父さんとお母さんが、平穏に戻った家の中でくつろぎながら交わす会話が最高です。こんなに緻密な計画を力を合わせて進められる兄弟、将来が楽しみ。叱るときは叱る、そして、叱りながらも子どもたちの力をきちんと理解しているお父さんとお母さんの様子もすてきです。

でも……。部屋に戻った双子の兄弟はまたつぶやきます。「あーあ、たいくつだなあ!」。あんなにすごいことができるのに、部屋のありさまといったら……。飛行機を作ってしまうほど壮大ではなくても、こういう類のことって、大なり小なり、日常によくありそうです。突拍子もないいたずらを展開する子どもにうんざりしつつ、「いやあ、こんな知恵もつくほどに成長したんだ。すごいすごい!」って心の中で思ったり。でもやっぱり、いたずらや部屋の散らかりにはうんざりするものですけどね。そんな大人にも、笑いと爽やかな読後感をもたらしてくれますよ。
 

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