ドラマ/医療ドラマ

スケール感を駆り立てる 壮大な医療ドラマ(3ページ目)

最近の医療ドラマは果てしなく壮大です。医療そのものを専門的かつ多角的に掘り下げ、そこにエンターテイメントの要素を織り込み、大胆なスケールで描きます。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

なぜ壮大に描かれるのでしょう

【壮大な医療ドラマの使命
1: 誰にとっても身近な医療
誰にとっても医療は身近な存在です。誰にとっても考えるべき時が来る命の問題もあります。デリケートな家族の問題から、未知のウイルスや治療法のない難病まで、医療は常に人類全体の課題です。

「すべては患者さんの命のため」このシンプルな鉄則が登場人物を突き動かし続けます。

『救命病棟24時』では、関東大震災、救命医療のあり方(医療とビジネス)、脳死問題など、深刻な問題に取り組んでいます。時代と社会を正確にとらえながら、過酷で壮大な問題を提示し、ドラマとしての方向性を示すことは、医療ドラマの使命と言えます。

2: 未来へ継いでいく医療
どのドラマにも、必ずベテランの医師が若い医師に「継ぐ」様子が描かれます。医療技術を継ぐ、医師としての姿勢を継ぐ、医師として何ができるのか、何をするべきかを継ぐのです。医療が常に未来に向き、若い医師に未来を継ぐ、未来を託すその意味が描かれます。

未来へ継ぐために映像を残すことも医療ドラマの使命なのです。
現実を描き、未来へつなぐ。医療ドラマの使命は壮大です。

【医療ドラマはあくまでドラマである】
重々しくなりがちなテーマをどう描くか。哲学書でもなければ講義でもないドラマは、ドラマをまっとうすることに意味があります。そこで重要なのがエンターテイメントとしての側面です。

もちろん、その方が楽しめるということもありますが、暗くなりそうな雰囲気を払拭するという意味もあるでしょう。

また、たとえば、治療法が確立されていない病気や 選択肢が複数ある病気において、どう考えどう選択するか ということばかりに執着すると、死生観や倫理観といった思考論になってしまいます。

エンターテイメント的視点をふんだんに取り入れる方が視聴者には伝わりますし、視聴者自身が想像することで、考えが広がります。専門性を好む最近の視聴者に応えるということも考えられます。難しい医療用語の連続は睡魔を誘います。

活気ある医療現場を印象付け、希望ある現場として描くためには、エンターテイメント的手法によるワクワク感は有効なのです。

医療ドラマを通して、私たちはスケール感を駆り立てられ、臨場感を体感しながら、どこか頭の片隅で考えるべきことを認識しているものです。楽しみながら考えさせられる医療ドラマ、つくる人たちの思いや力量に改めて感服します。
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