バチスタ、臓器移植、終末期医療……など、医療ドラマは果てしなく壮大になっています。

『ナースのお仕事』(1996年の第1シリーズから2002年の第4シリーズまでフジテレビ系列で放送、主演は観月ありさ)や『野々村病院物語』(1981年と1982年にTBS系列で放送、主演は宇津井健)では、医師とナースの恋や後継者問題など人間関係が主軸となっていましたが、近年の作品は、医療そのものが専門的かつ多角的に掘り下げられ、壮大に描かれます。また、厳しい医療現場の状況がドラマチックに映し出され、エンターテイメント的要素もふんだんに織り込まれています。

では、具体的に何が壮大さを創出しているのか、考えてみたいと思います。

医療ドラマを劇的に壮大化させる5つの要素

1: 解説付きの専門用語
医療ドラマでは、オペ中の専門用語が膨大で、『医龍』や『チーム・バチスタ』のシリーズでは、ギャラリーや同僚によってイラスト付きの解説が連打されます。さらに『外科医 鳩村周五郎』や『医龍』では、「すごい」「早すぎる」「奇跡だ」といった ストレートな驚嘆が滞りなく湧き起こり、難しい手術であること、成功させる医師が少ないことだけはわかります。

吹き上がる血、降下する血圧、毎週訪れる突発の事態を目の当たりにしながら、視聴者は緊張感を駆り立てられるのです。解説を聞き、驚嘆の事実と知っても、実のところよくわかりません。しかし、オペ終了後は達成感を共有しています。
壮大な現場を乗り越えたことだけが、心に大きく残ります。

2: スケール感のある音楽
『JIN -仁-』に代表されるように「ここぞ」という時には、壮大な音楽が流れ、視聴者もまた大きなことを成し得たような気持にさせられます。しかも反復経験により、回を増すごとに壮大な感覚は増幅していくように思えます。

『医龍』のオペシーンでは 「1.手術にかかわるスタッフのやりとり」「2.解説するギャラリー」「3.医療機器の音」「4.楽曲」……の多重音効果で、視聴者はどこに集中していいかわからず、ただただ緊張感を煽られます。

『ドクターーX~外科医・大門未知子~』では口笛が響きます。さすらい感を満喫でき、なんだか強くなった気分になれます。

運命に翻弄されるかのような窮地に陥る時は、「男性コーラス」が登場するドラマも多いです。運命の儚さに直面しつつ、希望を見出すクライマックスなど、男性コーラスはまさに壮大の最上級です。