企業経営のノウハウ/社内報の活用法

グローバル展開には必須!効果的な社内報活用法(2ページ目)

皆さんの会社では、海外にある支社や事業所、現地法人とのコミュニケーションをどうされているでしょうか。全社的に情報を共有するのに便利なのが、社内報。しかしその発行にあたっては工夫が必要となってくるでしょう。グローバル企業では頭を悩ませる広報担当者も少なくありません。海外の社員にどうリーチするか、見せ方によっては国内従業員にも影響を与えることがあります。効果的な海外版社内報の作成法とは?

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

日英併記は日本人社員に悪影響の可能性あり

日英併記の社内報では別の課題があります。ほとんどの企業では、いきなり日英併記の社内報が創刊されることはありません。まず日本語の普通の社内報が存在し、グローバル展開に伴い日英併記となっていきます。日英併記となると、多くは従来のページ数のままなので、単純にコンテンツの量が半分になります。読者にとってはどのような影響があるでしょうか?

こちらも日本を代表する企業さんの社内報読者のお話です。
「日英併記となり、いきなりグローバルネタが多くなり始めました。そして従来の社内報は読みごたえがあったのに、日英併記となったことにより、中身が薄くなりましたね。ここから社内報離れが始まったように思います」。

さらにこの会社では紙の社内報もやめて、全面Web社内報にシフトしました。
「Web社内報になってからは、ほとんど閲覧しなくなりました。見てもヘッドラインニュースぐらい。そのニュースをベースにした特集はまず読まないですね。ですから、いま他部門でどのような動きがあるのか、社内報を見なくなってから、正直全く分かりません」。この企業では、紙の社内報を復刊する計画があるとのことです。
答えに窮している姿

社内報を読まないと他部署のことが分からなくなる



日英併記の社内報は、メインターゲットが日本国内の社員。よって国内の記事が中心であり、そうすると、先に記したように海外ローカル社員はあまり読んでくれない。そしてここで記したように、メインターゲットの日本国内社員にもじわりじわりと悪影響を与えかねないのです。

地域ごとに異なる内容がこれからのカタチ

では海外版社内報はどうするべきなのでしょうか?
あるグローバル企業の事例があります。組織体制として、日本語の社内報の編集者と別の編集者が海外版社内報を作成しています。体裁から内容まで全く別物です。英語版と中国語版を発行しています。

海外版2誌の表紙は同じです。ページを開き2ページにはこの企業の社長メッセージ、これはどちらにも掲載されています。もちろん日本語にもありますが、掲載ページは異なります。3ページにはこの企業にとって大事なニュースが2誌とも掲載されています。日本語版はニュースコーナーでの掲載です。

4ページ目から、この2誌でも異なってきます。英語版には欧米のニュースが掲載され、中国語版ではアジアのニュースが掲載されています。そのような流れが続き、最後の方に英語版ではアジアのニュースが、中国語版では欧米のニュースが掲載されています。それぞれの地域にあわせて優先順位をつけているのです。この事例を、海外版社内報を発行している企業の社内報担当者に紹介しますと、ほとんどの方が共感され、実際に変更しようとしている企業もあります。

ちなみにこの海外版社内報の編集者は長らく海外勤務をされてきた方です。海外のローカル社員の情報ニーズを肌で感じてきたからこのような社内報が発行できたのだと思います。

一般的に、読者は、自分の関心事や問題意識の範囲内でしか、情報に反応しないものですし、読者の関心の射程距離内にある企画でないと読まないものです。
海外版だからと言って、ただ単純に英訳すればいい、というのは発信者側の勝手な押しつけです。同じ日本人であっても読まれる企画には苦労しているのに、文化が異なる他国の人に読まれる企画はさらに難易度が高いはずです。

発信者側都合の、日本の情報を知っておくべきだ、読むべきだ的な発想ではなく、海外版社内報だからこそ現場の情報ニーズを拾い上げる努力をすべきでしょう。

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