サビ残は悪なのか?を徹底的に考えてみた

サービス残業をうまく活用することで、成功した人がいます。マイナスな出来事についても見方を変え自分に有利に活用するのが「金持ち」流。第1回目の、『金持ちになるための戦略としての「サビ残」論』で挙げた、私が考えるサービス残業活用法を全否定する人への問題点をさらに掘り下げてみます。今回は、問題点2の「ルールを守ることが目的になっている」から考えてみましょう。

ちなみに、以下は前回のコラムで私が考えた「サビ残」を全否定する人の問題点です。

1 会社サイドの視点と、労働者の視点がごっちゃになっている
2 ルールを守ることが目的になっている
3 個人が本当にハッピーになるための戦略がない
4 視野が狭くなる
5 人間の感情の機微への洞察に欠ける
6 正義感が視野の狭さにつながることもある
7 反発の感情が学習能力を低下させる

2、ルールを守ることが目的になっている

ルールを守ることに忠実で従順な人は、搾取される傾向があります。彼らは、そのルールが場合によっては正しくないこともあるとか、自分に有利が不利かということは考えません。

ルールの本質を考えないし、自らルールを作ろうとも変えようともしない。だから他人が作った他人に有利なルールを守らされてしまうのです。ただひたすらルールを守ることが彼らにとっての正義なので、ルールを守らない人を見つけると我慢できず、いっせいに非難し、叩こうとします。これを思考停止といいます。

同様の内容は以前のコラムでも書きましたので、ご参照いただければと思います。

参考:
金持ちへの第一歩はルールブレイカーになること

「情弱」が一人負けする時代

3、個人が本当にハッピーになるための戦略を持っていない

会社にとってはサビ残は法令違反。しかし個人として、本当にハッピーになる方法を探した時、企業に対する法律を、個人が律儀に従うということにはならないというのは前回指摘したとおりです。

そして、元コラムは、あくまで「自分を売る」戦略のひとつの例です。能力的に劣った自分が突き抜けるには、どうやって他の社員と差別化するか。自分の能力をどうやったら認めてもらえるか。たとえば企画書作成能力に劣った自分が他者より抜きん出たいとき。より時間をかけて調べ、より時間をかけて書き、より時間をかけて見直しや修正をするのではないでしょうか。

営業力に劣った自分が他者より抜きん出たいとき。よりたくさん訪問し、よりたくさんの提案書を準備し、よりたくさんのトーク練習をし、よりたくさんのダイレクト・メールを作って送るのではないでしょうか。

同じような話は、以前に「残業ゼロ」に関しても紹介しました。ぜひご覧ください。
参考:残業ゼロ」「ノー残業」は良いことなのか

もちろん、優秀な人は定時で帰ればいい。

それに、定時で帰ろうと生産性を高め、業務処理能率を上げることは大切なことです。それ自体は否定しません。でも、優秀でない人間が定時で帰る生活をしていて、本当に成功を掴み取れるのでしょうか。かつての私も、能力で劣った自分が逆転するため、初めて就職した会計事務所を1年でクビになった劣等感を払拭するためには、人よりも多く働くことでしか解決できなかったと思っています。

権利を守るかどうかということより、いったい何が最も幸福に効くのか、あるいはどうしたら成功につながるかの方法論を提案せず、ただ「法律だから」「悪しき慣例」と非難するだけでは、逆に貧しくなる可能性のほうが高いでしょう。

なぜなら、ルールや権利にこだわるあまり、「成功するための戦略」を考えていないからです。もちろん、ご本人が成功されていらっしゃるなら、私の主張の出る幕はありません。

4、視野が狭くなる

目的を達成できるなら別の方法でも構わないのですが、サビ残を批判する人は、自ら打ち手の選択肢を狭めていると言えます。なぜなら、目的を達成するためには、あらゆる選択肢が考えられるし、また、考える必要があると思うからです。

たとえば私が無名のころは(まあ、今でも無名ですが・苦笑)、無料でセミナーをやっていました。自分の会社のことを知ってもらう、見込み客を集めるには、当時の私では有料セミナーでは人は集まらなかったからです。

無料であっても、来てくれた顧客に不動産投資のメリット・リスク・リスク回避方法を丁寧にお伝えすることで、私の会社で不動産を買っていただけたので、十分ペイしました。

そう考えれば、無料サービスは広告宣伝投資であり、先行投資だということがおわかりいただけると思います。ではそれを指して、「卑怯」「サービス労働」「ダンピング」「他のセミナー講師に迷惑」「業界秩序を乱す」「悪しき慣習」だと言えるでしょうか。

それは会社員であっても同じで、自分を売るため、成長するため、抜擢されるために効果があるなら、10分や15分の残業代を受け取らないことは、先行投資であり、自分の広告宣伝費となる場面だってあるでしょう。やってみて効果がないなら他の方法を探せばいいだけです。そしてこれを、「仮説検証」、「トライ・アンド・エラー」、「試行錯誤」、などと呼びます。

それは「何をやってもいいのか」という極論を言っているわけではなく、聖域やあるべき論といった縛りを外すと、他人が思いつかないアイデアが出る可能性がある、柔軟な発想ができる、ということです。

そう考えると、もし「サビ残は何が何でも悪」という反応が大勢を占めるとしたら、私たちには大きなチャンスです。一般常識にとらわれ一般的な発想しかできない人たちから、一歩抜きん出られるからです。

5、人間の感情の機微への洞察に欠ける

ちょっとびっくりしたのが、「サービス残業程度で感激する上司はおかしい」「壊れた価値観」という指摘。そういう人は、おそらく人を雇ったこともないのでしょう。

人間の責任感の有無、思いやりの有無、ホスピタリティや覚悟、といった内面の魅力は、ちょっとしたしぐさや言葉に出るものです。上司の指示に「チッ」などと舌打ちする部下は抜擢されないでしょう。普段は丁寧なのに、飲食店に行くと店員に「ちょっと、早くしてよ」などと横柄になる人も評価されないですよね。

そんな日々の言動を、上司や周りは見ています。そして、そんな小さな積み重ねが信用を作っていく。信用は一朝一夕にはならず、です。

そして、もしあの上司が彼女を正社員に推薦した理由が、「サービズ残業をしたからだ」と捉えたとしたら、それは人間の感情というものをわかっていないということ。

そうではなく、定時が過ぎても与えられた仕事を全うしようという責任感の強さ、自分の都合や権利よりも、組織の一員として会社や顧客に貢献しようという姿勢を評価したのだ、ということに気がつく必要があります。部下のほうだって、「自分のことを認めて欲しい」「努力を評価して欲しい」と考えているはずですしね。

それに、上司も人間です。時には「これ、急で悪いけどやってもらえる?」と終業時間の間際にムチャぶりしてくることもあります。

そんなとき、「もう時間なので明日でもいいですか」とか「今からなんてちょっと無計画過ぎますよ」などと答える部下と、「はい、やります」と元気よく引き受けてくれる人の、どちらを「かわいげがある」「もっといろんな仕事を任せよう」「目にかけてあげたい」「見どころがあるヤツ」と映るでしょうか。

それをして「そんな考え方はおかしい」と言う人は、部下を持ったことがない人か、人間心理を理解していない人のどちらかです。(後者の場合、だから部下が育たない、ついてこない、辞めていくのです)

また、「今日はきれいだね」と、「今日もきれいだね」は、「は」と「も」というたった一文字の違いでも、人間心理に与える印象が大きく異なるように、会話の時の表情や声のトーンまで含めて、人はいろんな側面で他人を判断します。
だからこそ、本文中でも『その彼女は「きりのいいところまでやって帰ります。」と明るく答えていた。』と書いたわけです。繰り返しますが、「明るく」ね。

そんな人間心理の機微を理解していない、想像できないとしたら、「人と人とのやりとりが織りなす人間社会」において、痛恨のディスアドバンテージではないでしょうか。

★第3回目では、続けてお金持ちになれる人の考え方を解説します