地震発生時は当事者には情報が入らない
東日本大震災発生時は、5時間並んでペットボトル2本
東日本大震災から3年半が経過しようとしています。被災地から離れた場所では徐々に震災の記憶が薄れつつある中、広島市北部を襲った豪雨による土砂災害によって、自然災害の突発性とその怖さをあらためて認識させられました。2014年8月25日、マンションディベロッパー大京グループの管理会社で、約41万戸の管理実績のある大京アステージの元東北支店長 金喜彦氏による防災セミナーが、プレス向けに大京で行われました。自らも仙台市のマンションで被災した金氏。震災当日は、不安で1階エントランスで一夜を過ごした住人も多かったそうです。実体験に基づいた話は防災セミナーとして、これまで東京・埼玉・千葉・大阪などで実施。参加者は延べ1000人を超えます。
地震発生時、すぐに金氏は電話をかけたそうです。宮城県は過去にも何度も大きな地震があり、通信環境の悪化は経験済みだったようです。しかしそれでも、既に通話はつながらない状態になっていたとのことです。地震直後は情報が入らない。これは、あらかじめ認識しておかなければならないポイントです。震災時、実際に津波が襲っていることは、多くの仙台の人は後から知ったようです。
そして、もう一つ留意しないといけないことはライフラインの寸断。被災地に水や食料を届ける道路も旧耐震の建物が倒壊し塞ぎます。被災直後には水や食料が一定期間届かなくなることは、認知しましょう。直後に開いていたスーパーで、5時間以上並んでペットボトル2本と僅かな食糧がやっと買えるといった状態だったそうです。その後到着した給水車には、長蛇の列。水を入手するのに5時間程度並ぶこともあったようです。
一般的に災害発生時には、自助(自分・家族)、共助(マンションの管理組合・地域)、公助(行政機関)の役割意識が重要といわれます。金氏曰く、災害に強い管理組合は「自助・共助の考え」を持っているそうです。自分たちが「被災者であると同時に支援者でもある」ことを意識していることが大切とのこと。自助・共助・公助の比率は、7:2:1と言われていますが、被災直後は動けないため9:1:0が実際だそうです。物資は、道路が塞がれ運べません。まずは自助で事前に備えていることが重要なのです。
1日を過ごすのに必要な水は1人3リットル。3人家族なら9リットル、3日分で27リットル、10日分なら90リットルの備えが必要です。ちなみに東日本大震災(仙台市)の水道のほぼ全域の復旧日数は30日、阪神・淡路大震災(神戸市内)は90日です。金氏は今は都内のマンション在住ですが、20日分の水と食料を備えているとのことです。
また、タンスの突っ張り棒程度では倒れて怪我をする人も。寝室には倒れるモノを置かないなど、部屋の安全の確保も事前の準備で重要です。
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