じつは今、この「焚き火」が子どもの学力を伸ばすということでにわかに注目されていることをご存知でしょうか
子どもたちが火を扱うことはとても大切な教育となる
どんなにピカピカで最新のアウトドアグッズを持っていても、焚き火を起こす手際さえ見ればその人の野外での実力は一目瞭然。手際よく火をおこし、その火を使っておいしい料理をつくり、最後はまるでそこで焚き火をした事実すらなかったかのようにきれいに痕跡を消してキャンプ場を後にできたら、これはもう達人。賞賛の嵐でしょう。
子どもに火を体験させるのは教育の原点
焚き火は注意力や現場対応力など、大げさではなく「生きる力」を身に着けるのに最適です。そして、こうした焚き火こそ子どもが体験すべきものだと力説するのは、ユニークな教育論で定評がある教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん。松永さんは『わが子を伸ばす四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」』(飛鳥新社刊)や『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社刊)という自著でも子どもをキャンプに連れていくことがいかに大切な教育であるか、そしてなかでも焚き火ほど教育に適したものはないと言っています。「自然の中で過ごすキャンプは子供にさまざまなことを教えてくれ、日常では巡り合えない多くの体験をさせてくれます。たとえば、昆虫はどんなところに棲んでいるか。木登りに適しているのはどんな木か。効率よく魚を捕まえるには、どうやって川の流れをせき止めればいいか。どんな木を集めればいい焚き火ができるか(略)自然はどんな図鑑よりも多くのことを教えてくれます」(『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』)
たかが焚き火と侮ることなかれ
「子どもに火を扱う体験をさせるーこれはあらゆる教育の原点でありこれより「上」はない。燃える火を見つめること、それに関わることの体験は他の一切の教育を捨象する。子どもに焚火の火を与える体験の大切さを了解できない者は、ほぼ「教育」に関係ないものたちである」(JOKER 松永暢史のブログ)とまで言い切るのです。
14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児も焚き火愛好家!
もっとも、そんな難しい理屈を並べなくとも、子どもたちに焚き火をまかせれば、もう夢中になってさまざまな創意工夫をこらすに違いありません。「この木はあっちの木よりどうも燃えがいいようだ」
「こっちに空気を通すと炎があがるぞ」
「アルミ缶は燃えきるのだろうか?」
「火の粉に触ったけどあんまり熱くないのはなんで?」
「どうすれば焚き火の上にフライパンが安定しておけるか?」
などなど、次々に疑問が湧いてきてスマホやゲームそっちのけで夢中になるにでしょう。
5歳でカナダに渡り、14歳でカナダのトップ大学5校が奨学金を上乗せして争奪戦を展開したことが世界中でニュースとなり、このたび初の著書「ザ・ギフティッド」(扶桑社刊)を上辞した天才児大川翔君。実は大川君も焚き火愛好家であることをブログの中で公言しています。脳の発育と焚き火の関係を語るうえでも、これは非常に興味深い事実でしょう。
「たき火はとても楽しい。火をおこし、大きく育てる。そして最後には炭を作る、その過程がとても面白い! 同じようなことをしているように見えて、毎回、条件が少しずつちがう。良い炭を作るには、工夫が必要だ。良い炭作りに成功したときは、達成感がある! 炭ができたら、次にたき火をするときに、それをまた使うんだ」(実録!翔の『極楽カナダ生活』)
大川君は幼い頃から年に何度も家族でキャンプに出掛け、そして焚き火を楽しんでいるそうです。そんな大川君も「最初、真ん中に燃えやすいものを置いて、取り囲むように、マキを置く。風が通るように。そして、火をつける。マキにしっかり火がつくまでが難しい」と語るように、たかが焚き火されど焚き火というわけで、なかなか奥が深いものなのです。