ハザードマップだけでは不十分

重要事項の説明を受けたりハザードマップを確認することはとても大切なことですが、実は、それだけでは不十分だと考えられています。「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定されていないものの、危険性が高い場所が存在するからです(【図8】)。
 
【図8】土砂災害警戒区域と考えられるものの、まだ指定されていない地域がある(平成30年3月末時点)

【図8】土砂災害警戒区域と考えられるものの、まだ指定されていない地域がある(平成30年3月末時点)


例えば全国には約66万か所の土砂災害警戒区域があると推計されていますが、そのうち土砂災害警戒区域に指定されているのは約53万1千区域に留まっています(平成30年3月末時点)。指定が遅れている原因としては、調査に手が回っていない地域があることや、指定を受けると地価の下落が懸念されるため、住民の同意を得られにくいなどが挙げられます。

平成26年に発生した広島の大規模土砂災害では、発生した場所が「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別区域」に指定されていなかったため、住民に周知ができませんでした。それを教訓として、現在では基礎調査が終了したら速やかに公表することが義務付けられています。区域の指定に時間はかかっても、危険があることは住民に知らせようというものです。
 

土地の危険性を知るには

その土地に昔から伝わる言い伝えや民話、古くからなじみのある地名にも防災の知恵が隠されています。

例えば、一般的な地名漢字に用いられる主な語句とその意味では、河川浸食を受けやすい場所では「カツ」(勝、渇、且、割)、水気の多いところや地崩れが多い所では「シシ」(獅子、宍、鹿、猪)、崖地のがけ、斜面では(坂、崖、垂、欠、岸、傾、崩、刈、峡)、「サガ、ソガ」(佐賀、嵯峨、曽我)、崖関連では(日向、日陰、裏、腰)、崖や深い谷や絶壁を表す「クラ」(倉、蔵、鞍、暗)、土砂流出のある場所「アズ、アツ」(小豆、厚、熱、篤、安土)、埋め立てたところや地すべりで埋まった場所を意味する「ウメ、ウマ」(梅、埋、宇目、馬)などがあります。

このほかにも地域に住むお年寄りに過去の自然災害の様子を聞いたり、過去の地形を調べることも、そこが危険な場所かどうか判断する材料になります。

※出典:社団法人 東京都地質調査業協会「技術ノートNO.39」(PDF)
 

危険な土地かどうかは複合的に判断する

毎年発生し、多くの命を奪う可能性のある土砂災害から身を守るために、ぜひご自宅周辺の危険度を調べておきましょう。また、どのような兆候が見られたら避難を始めるべきか、避難場所はどこかなど、日ごろからご家族で確認をしておきましょう。

先ほども述べたように、全国的に自治体の調査や警戒地域の指定は時間がかかりそうです。そのため、自治体が発表している土砂災害ハザードマップの情報だけではなく、昔の地形や地名を調べてみたり、昔から住んでいる人の話や言い伝えを聞くなど、さまざまな情報から複合的に危険度を判断するようにしましょう。

【参考サイト】
各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域
(国土交通省砂防部)
今後の土砂災害対策の進め方(国土交通省)
特殊土壌地帯対策(農林水産省)
特定非営利活動法人 土砂災害防止広報センター
土砂災害防止法の概要(国土交通省)
社団法人 東京都地質調査業協会

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