過去の大地震では造成地での地滑り被害が出ている。

過去の大地震では造成地での地滑り被害が出ている。

地震にまつわる災害の一つに「造成地の地滑り」があります。東日本大震災でも造成地の盛り土部分を中心に大規模な地滑りが発生しました。このように危険性のある土地を見極めるにはどうしたらよいのでしょうか。

2013年5月10日の朝日新聞では、東日本大震災の被災地である仙台市が造成地図の公開に踏み切ったことが報道されました。これで仙台市では一般の人でもインターネットで市内造成地の切り盛り情報を調べることが可能になりました。

 

地滑りが起こる恐れが高い「盛り土」部分

それではなぜ造成地の切り盛り情報が重要なのか確認しておきましょう。もともと平野の少ない日本では、丘陵地の土を切ったり盛ったりして宅地を整備し、そこに家を建てて住んできました。

地滑りが発生するのはその「盛り土部分」に多く見られます。地盤は基本的に地中深く掘れば掘るほど固くなります。したがって地山を削った部分(切り土部分)は比較的強い地盤となりますが、反対に谷や低地に土を盛った「盛り土」の部分は、地震などの揺れによって地滑りが起こりやすくなります。実際に過去の大震災で地滑りが起こった場所の多くは「盛り土」の部分でした。

 

情報が入手できれば対応が可能になる

現在でも造成地の切り土・盛り土情報は、一部の自治体を除き公開されておらず、一般の人が調べる方法がありません。もしこのような情報を知ることができたら、土地の売買を行う時や、現在住んでいる土地の安全性を確認する時に参考になるでしょう。

 

仙台市が全国初の公表へ

仙台市が公開した宅地造成履歴等情報マップの例。赤い部分が盛土部分。

仙台市が公開した宅地造成履歴等情報マップの例(仙台市ホームページより)。赤い部分が盛土部分。

東日本大震災の発生で仙台市では宅地造成地において5,400か所以上で地滑りなどの被害が出ました。それを機に市民から「宅地造成地の情報を知りたい」という要望が多く集まり、2013年5月1日より宅地造成情報マップの公開に至りました(5月17日からは仙台市のホームページでも閲覧可能)。

宅地造成地の盛り土情報は「3,000m2を超す大規模な宅地」に限り公開していた自治体があったものの、仙台市のように規模に関係なく詳しい情報を盛り込んで公開した例はなく、全国で初めての試みとなりました。

 

仙台市の造成地図を見る

仙台市青葉区折立地区の切り土・盛り土図(一部)。赤丸はガイドが追記。

仙台市青葉区折立地区の切土・盛土図(一部)(仙台市ホームページより)。赤丸はガイドが追記。

このたび公開された仙台市の宅地造成履歴等情報マップ「切土・盛土図」を見てみましょう。

左の図は東日本大震災で大規模な地滑りが発生した青葉区折立5丁目近辺を含む「切土・盛土」地図です。図中の黒い太線で囲まれた部分が造成地で、赤く着色した部分が盛り土、青く着色した部分が切り土を示しています。色の濃淡で切り盛りの程度(高さ)を示しています。

大規模な地滑りが起きた付近(図中赤丸で囲われた部分/ガイドが追記)と赤く着色された盛り土部分が重なっていることがわかります。

仙台市の造成地図では「切り土・盛り土」情報の他にも以下の情報を公開しています。
・造成を始めた年のわかる「造成年代図」
・土砂災害の危険個所を示した「土砂災害危険箇所図」
・もともとの地形を示す「旧地形図」

宅地造成マップの活用

このように造成地の切り土・盛り土情報を公開することで、市民が情報を得たり、防災対策を取れるようになることが期待される一方、「地価への影響」も懸念されており、全国的に公開する自治体は少なく2013年5月現在で公開しているのは12の地方公共団体にとどまっています。

今後大地震発生の可能性が予測される中、防災のためには情報の公開が必要です。このような情報公開が全国に広がることを期待したいと思います。

【関連サイト】
仙台市ホームページ 
仙台市宅地造成履歴等情報マップ 
宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案について(国土交通省)

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切り土・盛り土がわかる造成地マップ 全国編

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