顎関節症の主原因、TCHとは?
現在、顎関節症の主要因として考えられているのが、習慣的な上下の歯の接触(Tooth Contact Habit、TCH)です。上下の歯は一日の中で食事をとる時などしか接触しない構造になっており、正常であれば口を閉じた状態でも前歯は1~2mm、奥歯では0.5~1mmの安静空隙というすき間が常にあいています。TCHはこの安静空隙が消失してしまっている状態、つまり常に歯を噛み締める状態を指します。パソコンでの長時間の仕事や料理や洗い物などの家事、精神的緊張にさらされることなどで知らず知らずの内に歯を噛み締めるクセであるTCHを身につけてしまうと、顎関節を閉じる筋肉の血流が低下し痛みが発生します。また、こうした状態が慢性化すると顎関節自体への圧力が増加し関節運動がスムーズに行われなくなるなどの事態に発展します。
ぜひ一度お仕事や家事の最中にご自身にTCHがあるかを確認してみてください。現在は痛みがなくても、もしTCHがあれば顎関節症予備軍であると考えられます。
TCHを発生させる筋肉として挙げられるのが咬筋と側頭筋の二つです。この二つの筋は口を閉じる筋肉である閉口筋の代表であり、顎関節症に悩むほとんどの方がこれらの筋に圧痛を持っています。
咬筋を緩めるツボ
咬筋は顎を噛み締めた時に顎関節のところで大きく膨隆する筋肉なので、目視でも発見しやすいのではないでしょうか。この筋には下関(げかん)と頬車(きょうしゃ)というツボが存在しており、これらのツボへのマッサージは顎関節症の予防・症状改善に効果があると考えられています。・下関
顎関節症の時に緊張が高まる咬筋を緩める下関
下関と同じく頬車へのマッサージは咬筋を緩める効果がある
側頭筋をゆるめるツボ
頭維へのマッサージは側頭筋をリラックスさせる
五行分類から考える顎関節症とツボ
足三里へのマッサージは胃のエネルギーを回復させる
また、胃経は何かを思い悩む思(し)という感情が過剰になった時に影響を受けるため、精神的ストレスなども胃経を介し口周辺の何らかの症状の原因になると考えられます。こうした観点から、足の三里などの胃経のエネルギーを回復させるツボへのマッサージも顎関節症の予防・症状改善に効果があると思われます。
・足三里
足三里へのマッサージは胃のエネルギーを回復させる