多くの方が経験する顎関節症
日本人の二人に一人が経験する顎関節症。その原因は?
顎関節症は子供から大人まで幅広く発生し、一生の間に日本人の二人に一人は経験するというポピュラーな症状です。一般的には下記の三つの症状のどれか、または複数が発生します。
- 口が途中までしか開かない
- 開口しようとすると顎関節や筋肉が痛む
- 口の開閉にともない顎関節内で音がする
また、日本顎関節学会では症状を以下の四パターンに分類しています。実際には顎関節症と診断される方の多くが2型であると言われています。
- 1型 筋肉の障害や緊張によるもの
- 2型 関節包・関節靭帯・によるもの
- 3型 関節円板の障害によるもの
- 4型 顎関節を構成する骨の変形によるもの
さらに「口腔顎顔面痛の最新ガイドライン」第四版では成人一般人に対し行った調査で以下のような結果を得たことを発表しています。
- 顎関節機能の障害(異常運動、関節雑音、圧痛、その他)の症状の少なくとも一つを持つ人口40~75%
- なんらかの痛みを持つ人口33%
- 関節音、開口時の下顎のずれを持つ人口50%
- 上記の症状があるが、実際に治療が必要と考えられる人口5%程度
こうしたことから、顎関節症にこれからなる、もしくはなりつつあるという人口が非常に多いということが伺えます。
顎関節症の原因は噛み合わせ?
誰もがなる可能性が高く、予備軍も多い顎関節症ですが一体その原因はなんなのでしょうか。一般的に顎関節症の主な原因は歯の噛み合わせの悪さにあると考えられています。不適切な歯の噛み合わせでは使われる筋肉が偏り、不適切な関節運動が発生する、というセオリーは感覚的にも理解しやすいものです。
しかし、そうなると歯科医療が発達していなかった時代や地域においては、虫歯の影響などで歯の噛み合わせが悪くなる人口が増加すると考えられ、顎関節症は頻発するはずです。
実際には顎関節症の症例数は近年において増加する傾向にありますし、歯科医療の発達していない地域において、顎関節症が問題化するような事態は発生していないようです。こうしたことから、近年では顎関節症の主原因は歯の噛み合わせではなく、他の要因が関係しているのではないかと考えられています。