くらもちふさこ唯一の映画化作品『天然コケッコー』
『天然コケッコー』(2007年度作品)
田舎町の小さな分校を舞台に、東京からやってきた転校生の大沢(岡田将生)と中2のそよ(夏帆)の距離が近づいていく様を家族や友人や先生たちを交えて見せていく、くらもちふさこの同名漫画の実写映画化。
くらもちふさこは、紡木たくと双璧をなす少女漫画界のカリスマですが、傑作漫画が多いわりに実写映画化された作品は『天然コケッコー』だけです。なぜか……それはくらもちふさこの漫画は説明を極力排除して、セリフとさりげない描写で見せていく漫画であり、劇的なことが起こらないので映画化するのが実に難しいのです。しかし、その壁を乗り越えたのが『天然コケッコー』。
ヒロインのそよが、自分が友達を知らぬ間に傷つけていたことに落ち込んだり、大沢のコートを羽織って「この匂い大好き」と無意識に男子をドキっとさせたり、そんな小さな出来事の積み重ねが愛おしくてずっと見ていたくなる映画に仕上がっています。
くらもちふさこの漫画は「この気持ちわかる」と共感したり、ハっとしたり、一言のセリフでドキっとさせたりするのですが、そんな世界を映画で体験できるのが『天然コケッコー』。これは紛れもない傑作です。
監督:山下敦弘 原作:くらもちふさこ 出演:夏帆、岡田将生、夏川結衣、佐藤浩市ほか
※アイドル王道を行く少女漫画の実写映画をご紹介。嵐の出演作もあるよ。