侯と候・専と博の違いなど……区別が難しい漢字に要注意!
漢字を間違えず正確に!
点を付けるか付けないか、間違いやすく似ている漢字を正しく書くための覚え方を紹介します。
間違いやすい感じのポイントは漢字の点(ヽ)
漢字には、点(ヽ)をひとつだけ付けるものが多くあります。【例】太、以、丼、犬、主、凡、寿、玉、残、的、代、付、丹、叉、注、状 など。
これらの漢字は点(ヽ)の位置が目立ち、画数も少なく普段よく目にすることから、間違えて書くことはそれほど多くはないかと思います。
ところが、「博」や「敷」、「簿」などはどうでしょう。これらは画数も多くなりますが、書く時についウッカリ点を付け忘れてしまう、もしくは付けるのかどうか混乱して分からなくなってしまう、そういう事が試験の時だけでなく、日常でも起きてしまいがちです。
ここで、間違いやすい漢字の組み合わせとして、「専」と「博」、「候」と「侯」を例に上げ、それぞれの漢字について説明しましょう。
「専」と「博」の違いとは
「専」という字の右上に点(ヽ)を付けてしまうのは、「博」という字と混同することによります。「専」は右上に点(ヽ)はありません。「専」は、訓読みで「もっぱ(ら)」、音読みで「セン」です。旧字体では「專」と書き、つり下げた丸い糸巻用の器具(紡錘)を手に持つ形を示した字です。ここから「専門」や「専一」という、それだけひとすじに、ひとりじめにする、という意味が生まれました。
一方「博」の右上の部分は、もともとは「甫」という字でした。「甫」は訓読みで「はじ(め)」、「おお(きい)」、音読みで「フ・ホ」です。苗を育てる平らな畑のことで、苗木の根を囲い包んでいる形を示しています。「博」は苗木を平らに広げて集めることを示し、そこから「ひろ(い)」という意味が生まれました。
以上から分かるように、「専」と「博」では、字の成り立った背景が全く違うのです。「甫」を用いた漢字は「浦」、「補」、「捕」、「舗」などがあり、どれも音読みはホです。
「博」の右上部分が同じ字の「薄」はハク、「縛」はバク、「敷」はフ、「簿」はボと読みます。これらは「甫」や「博」と同じグループで、どれもハ行の読み方をします。
ハ行は点アリ、ハ行以外は点ナシ、この法則を覚えておけば、「専」という字に間違って点(ヽ)を付けてしまうことはないでしょう。
「候」と「侯」の違いとは
次に、よく間違えやすい「候」と「侯」を見てみましょう。「侯」は音読みで「コウ」です。「侯」の右側は、的の幕を垂らした様子の「厂」と矢を組み合わせた形から来ており、これに人偏を加えて、王朝のために外敵を打ち払う弓の射手、転じて、重臣や大名に与える爵位の名となりました。
一方「候」という字も音読みで「コウ」ですが、「侯」の左側にもうひとつ「人」を加えて、伺いのぞくことをあらわし、地位の高い人の機嫌を伺うことの意味となりました。「候」の中にある縦棒は、「侯」の人偏の部分が変化したものだったのです。
「候」は他に、現れるのを待ち受ける、わずかに出たきざし、などの意味があります。熟語としては、「天候」、「気候」、「兆候」、「候補」、「居候(いそうろう)」、「候文(そうろうぶん)」などで、決して多くありません。
伺う、きざしの意味の「候」という字だけは縦棒は付ける、「候」以外の似ている漢字の「侯爵(こうしゃく)」の「侯」や「咽喉(いんこう)」の「喉」などは縦棒は付けない、と覚えておくとよいでしょう。
このように、漢字の成り立ちを理解しておけば、間違ったり混乱したりすることは避けられます。漢字を確実にマスターするためにも、漢字の成り立ちを理解することをオススメします。
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