ビール/おすすめベルギービール

復刻版のスタウトビール モンクズスタウトがおすすめ

セゾンデュポンやボンブー、ミール ビオと同じ、デュポン醸造所の造っているスタウトビールです。現代表のオリジエ・ドゥデケール氏の祖父の代、1950年当時に造っていたビールの復刻版で、ラベルも同じデザインを使っているので、少しレトロでいい雰囲気あります。

執筆者:滝沢 健二

モンクズ スタウトとは

モンクズ スタウト

モンクズ スタウト


先に紹介したセゾンデュポンボンヴーミール ビオと同じ、デュポン醸造所の造っているスタウトビールです。現代表のオリジエ・ドゥデケール氏の祖父の代、1950年当時に造っていたビールの復刻版で、ラベルも同じデザインを使っているので、少しレトロでいい雰囲気。味わいはコクのあるブラックのアイスコーヒーのよう。強いロースト味と若干の酸味の奥に、控えめな甘さを探す楽しみ方は、ベルギービール好きだけでなく、ギネス好きの方にも喜んでもらえるのでは。

1950年のモンクから遡ること百数十年前、ベルギーは1830年にオランダから独立しました。繊維、鉄鋼、石炭と、産業革命の条件が揃っていたところで、鉄道インフラを整備することになり、大きく変貌を遂げました。イギリス生まれのポーターやスタウトという名前の、濃い褐色のビールは、18~19世紀の産業革命という大きな流れと合わせて、世界に広がっていったのだと思います。モンクズ スタウトは当時の人々の思いが詰まった、懐かしい、ロマンなビールといったところでしょう。2012年7月、デュポン醸造所のあるワロン地方エノー州では、ユネスコの世界遺産として3つの炭鉱跡が登録されました。

ほんの20年程前まで、少し古臭い時代のイメージだったせいもあってか、ベルギー産のスタウトの種類は、多くありませんでした。ここ数年で増えてきましたが、これはアメリカを中心としたクラフトビール(少量醸造)を支持する流れが、世界中に飛び火したからでしょう。この流れは、「醸造方法の原産国に囚われない」という一つの大きなカテゴリーのようになっています。現在ではベルギーでスタウトやIPAの銘柄が増え、アメリカを中心とする多くの国では、ベルギービールタイプが醸造されています。

ポーターからスタウトへ

スタウトというカテゴリーの説明には、まず原型となるポーターの説明から。原点は18世紀にロンドンで登場した、ポーターというビールにあります。当時ロンドンでは、上面発酵の「エール」と呼ばれていたビールを、パブやエール・ハウスで熟成させたり、ブレンドしたり、加工して飲むのが人気でした。そのエールをブレンドして、販売をしたものが大人気となり、後にポーターと呼ばれるようになりました。好景気に沸くロンドンで、安い、早い、色が濃くてコクがあるこのビールは、ロンドンの下町の労働者達に、絶大な支持を集めました。名前の由来は諸説ありますが、有力なのはテムズ川河川の荷運び人 (Porter)が愛して止まなかったので「ポーター」で定着したとか。

ビールの歴史の中には、酵母の純粋培養などの、幾つかの大きなターニングポイントがありますが、ポーターの登場と醸造所の規模拡大は、“ビール醸造が産業になったターニングポイント”かもしれません。

アイルランドでもロンドン生まれのポーターは人気で、アーサー・ギネス氏はロンドン生まれのポーターを徹底的に研究したそうです。研究は実を結び、1759年のダブリンで、スタウト(強い)という名前を付けた、ギネス スタウト ポーターが発売されました。その後ギネスは技術的進化を重ね、スタウトの代表格になりました。

スタウトにも種類はありますが、基本は酵母が麦汁の上面で活動する上面発酵ビールで、使用する麦芽の焙煎が強く、強いカラメル味が特徴。色は赤身の少ない濃い褐色、または黒色のビールをスタウトと呼びます。それに対して日本では下面発酵のビールの中にもスタウトと呼ぶビールがあります。これは「ビール表示に関する公正競争規約4条の(4)」で、スタウトとは「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビールでなければ、スタウトと表示してはならない。」と定義されていて、発酵に関してのルールがないからなのです。だから日本では上面発酵でも下面発酵でもスタウトと呼ぶことになっているわけですね。

次はモンクズ スタウトにピッタリの料理を紹介します。

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