運動と健康/運動のメリット・運動時間・強度・頻度

暑い時期だからこそ運動で汗をかこう

まだまだ気温の高い日が続き、運動したいけれど熱中症は心配だし、汗はかきたくない…という人も多いはず。しかし暑いからといってクーラーのきいた屋内で体も動かさずに過ごしていると疲労がたまったり、動くのが億劫になったりといわゆる「夏ばて」状態におちいってしまうことも。体を動かして汗をかくことは夏ばて解消にも効果大。暑い時期の運動方法を考えてみませんか。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

発汗をうながす運動

トレーニングジム

汗をかくことは体温調節の一部

汗をかく量は人によってそれぞれですが、運動などをすることなく、汗をかかずに毎日を過ごしていると、どんどん発汗機能は衰えてしまいます。発汗機能が正常な人は少し体を動かしただけでも汗が少しずつ出るのでうまく体温調節ができるのですが、こうした機能が低下しているとコントロールすることがむずかしくなり、体の中に熱がこもってしまいます。さらにこの状態が続くと、体内の熱に反応して突然大粒の汗をかいたり、熱中症の初期症状があらわれたりすることが懸念されます。こうした発汗機能の低下を改善させるにはやはり運動で汗をかくことが大切です。

発汗をうながすためには何といっても有酸素運動がオススメです。ウオーキングやストレッチなどの軽い運動でも、続けることによって長時間にわたって血流を改善させる効果が期待でき、汗腺を刺激して肌が汗ばむようになります。炎天下で運動するのは体に負担が大きいので、朝晩の涼しい時間帯を選んで行うようにすると良いでしょう。また汗が出るということは、体の中の水分とミネラル分が失われていることでもあります。水分と塩分を含むミネラル分の補給は必ず行うようにしましょう。

体を動かすことで夏ばて解消に

ストレッチ

ストレッチなどから始めてみよう

夏ばては外気温と室温との温度差によって自律神経が乱れることによって起こるといわれています。暑い時期の運動はかえって疲労がたまってしまうのではと心配される方もいるかと思いますが、適度な運動、自分にとって心地よいと感じられる負荷での運動は、自律神経の働きを高めることにつながります。ここでポイントとなるのは「ハードすぎない運動」ということ。体を動かすわけですから多少なりと肉体的な疲労はありますが、精神的な疲労はかえって軽減され、リフレッシュ効果が期待できるといわれています。

また運動習慣がまったくない人にとっては、運動そのものがネックとなってしまうこともあるでしょう。このような人にはお買い物や通勤通学時などのウオーキングやサイクリング、室内でのストレッチなどから始めてみると意外と長続きするのではないでしょうか。「体を動かす時間」を作ること。この意識から始めてみるとよいでしょう。

入浴や食事にも一工夫

湯船で入浴

じっくりつかって発汗&疲労回復

発汗作用をうながすのは運動だけではありません。入浴方法や食事によっても発汗機能を高めることができます。暑いからといってシャワーだけですましていると、十分な発汗ができず、体内に熱がこもってしまうことになります。暑い時期こそ湯船につかって入浴するようにしましょう。ぬるめのお湯につかり、ときどき水を飲みながら時間をかけて体を温めていくと、体の中からじんわりと汗が出てくるのを実感することができると思います。肩までつからず、腰の位置程度の半身浴や足湯などにしても構いません。また入浴後もしばらくは汗が出るように、扇風機やクーラーの風に直接あたらないようにすると、より発汗機能を高めることになります。

食事では発汗効果のある食材をうまく選んで食べるようにするといいでしょう。具体的にはカレー粉や唐辛子、キムチといった食欲増進にもつながるものや、にんにく、わさび、しょうがといった料理に加えるだけでその効果が期待できるもの、レモンや梅干しなどのクエン酸(酸っぱい成分)を含むものなどは熱中症対策も兼ねて食べるようにすると一石二鳥ですね。

暑い時期は汗をかきたくない!という気持ちが少しでも変わってきたでしょうか。汗は体温を調節する大切な役割を担います。適度な運動は夏ばて解消にもつながりますので、疲れているときこそ体を動かすつもりでチャレンジしてみてくださいね。
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