※2014年9月22日、3ページ目に出演者変更のお知らせ追記しました
初めてのストレートプレイで改めて日本語と向き合う
――今回の『きらめく星座』が田代さんにとって初の音楽劇ですね。
田代
そうなんです、ミュージカルでデビューしてからは5年になるんですが、ストレートプレイへの出演は今回が初めてで……更に僕、朗読劇以外の舞台で日本人の役を演じるのも初めてなんですよ。
――わあ、それは記念すべき作品になりそうです。ストレートプレイは本作が初めてという事ですが、演出の栗山民也さんと以前組まれたミュージカル『スリル・ミー』や『ピアフ』も演劇的な要素がとても強い舞台だと思いました。
田代
確かにそうですね、二作ともいわゆるTHEミュージカルとは違うモードかもしれません。ただ今回の『きらめく星座』はやはり特別です。井上ひさしさんの作品には歌や音楽といった要素が随所に盛り込まれてはいるんですが、圧倒的に芝居や物語の分量が多い。『きらめく星座』の劇中で歌われるのは当時の流行歌で、その歌を通して戦時中を生きる登場人物たちが1つの”輪”になっていくという感じでしょうか。
――井上ひさしさんの戯曲と向き合うのはやはり大変ですか?
田代
はい、まずは日本人役初トライですから(笑)。最初台本を読んだ時に読めない漢字も沢山ありましたし、旧仮名遣いで書かれていて馴染みのない単語や言葉も一杯出てきて”……外国語みたいだ”と思いました。それでまず辞書を引いて色々調べたり、インターネットで昭和15年頃の写真を検索したりする事から始めて……言葉のイントネーションやアクセントにも苦労しましたね。現場で皆さんの台詞をとにかく懸命に聞いて勉強するようにしました。
――田代さんにとってある意味”新しい日本語”との出会いだったわけですね。
田代
これまで海外発の作品に出演する機会が多かったですし、僕は元々クラシックの出身なのでイタリア語で歌を表現して来たんですね。ミュージカルに出る事になった時に日本語という言語で全てを表していくという事に実はカルチャーショックも受けたんです……日本人なのにおかしな話ですが。今回、井上ひさしさんの作品に出演させて頂くにあたり、改めて日本語とガッチリ向き合っています。最初は難しいと感じた言葉も段々胸にすっと落ちてくるようになりました。
――正一はポイントとなる場面に毎回違った姿で登場し、それがオデオン堂の人々の生活や心情の変化に上手くリンクしていくという役回りだとも思うのですが、正一が舞台上に登場していない時の空白をどの様に埋めていますか?
田代
それがまだ自分自身”出ていない時がある”って感覚が今、殆どないんです。稽古場で自分が出演していないシーンも必死に見ていて、全6場ずっと舞台上に居るような感じですね……実際は忍者のように現れて寅さんの様に去っていく訳ですが(笑)。
こまつ座さんの舞台はこれまで何度も拝見していて、『きらめく星座』も昨年の段階で戯曲は読んでいました。あ、後ね、井上ひさしさんご自身の演出で上演された初演の映像があってそれも観ました。それとこの作品には当時の音楽が沢山出てくるので、その頃の曲を集めたCDを一杯聞きましたね……中には軍歌ばっかりというCDもあったりして。自宅でその時代の音楽を聴いていると、当時の空気感とか雰囲気が自分の中にふわっと入ってくる様な気がするんです。
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