マネジメント/マネジメント事例

ベロマークの意味とは?ストーンズに学ぶブランド戦略

今回は組織のブランド化の話です。企業価値を高めるブランド化には様々な手法がありますが、ここに参考事例として取り上げるのは、世界的ロックバンドのローリング・ストーンズ。結成から既に50余年。「継続は力」とは言え、常に第一線でスーパースターの座を維持してきた陰には、巧みに仕組まれた彼らのブランド戦略があり、企業も彼らから学ぶところは多いのです。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

アンチ・ビートルズの象徴

解説

ライブ会場のグッズ売場には連日2時間以上待ちの列が

ローリング・ストーンズは1963年に英国でレコードデビュー。今年でデビュー51年を迎えます。この2~3月にはワールドツアーの一環で日本にも通算6度目の来日を果たし、東京ドームでの3公演はS席のチケット代金18000円という過去最高金額にもかかわらず、3日間で約15万枚がすべてソールドアウトという人気ぶりでした。

会場には、60~70年代からのファンと思しきベテラン層のみならず、10~20代の若手層も意外なほど多く見受けられました。中心メンバーが70代を迎えたストーンズが今だに新たなファンを増やし続けているのは、今も昔も変わらぬ「カッコいいロックバンド」のイメージあればこそなせる業であると言えるのです。

彼らのデビューは、同じ英国のバンド、ビートルズがデビューした翌年。すでにビートルズは大旋風を巻き起こしつつありました。そうした中、ストーンズは当時のマネージャーによる戦略的指示の下、服装や曲調などで「ビートルズのイメージに対抗した“ワル”」のイメージを前面に出し、ビートルズとは異なるファン層を獲得することになります。

ロックヒーローを優等生化することで売り出したビートルズを逆手にとって、ストーンズは「ロック=不良」の正統派イメージを突き詰める路線を歩み始めます。これが「カッコいいロックバンド」をイメージさせるブランド戦略の下地づくりとなったのです。

具体的なブランド化の第一歩となったのは、71年自身のレコード会社ローリングストーンズレーベルを立ち上げ、同時にヒンズー教カーリー神の舌を模したと言われるあの有名なベロマークをレーベルシンボルに指定したことです。その後、彼らがリリースしたすべてのレコードやすべての関連グッズにはベロマークが付されることとなり、これにより一層「ビートルズ=リンゴ(アップル・レコード)=フレッシュ」という真面目なイメージに対して、「ストーンズ=ベロマーク=あかんべー」という“不真面目”な印象付けが確立されるのです。

「解散回避」でブランドを守ったミック・ジャガー

ワルの印象と“不真面目”なベロマークは、70年代以降もメンバーの度重なる麻薬逮捕や日本政府の彼らに対する入国拒否事件などを経て、ストーンズの反社会的なイメージづくりにますます貢献することになります。そしてそのイメージがブランド化される転機が、80年代後半に起きたメンバー間の不協和音による解散騒動によってもたらされます。

この当時、デビュー以来ストーンズの大半の曲を共作しているボーカルのミック・ジャガーとギターのキース・リチャーズの間に生まれたいさかいは、ミックのソロ活動に端を発しお互いがメディアを通じて罵り合うという決定的な局面を迎えます。ところが、ファンの誰もがもはや修復不能と思わされた段階に至りながら、突如話し合いによって関係は修復されストーンズは解散の危機を回避したのです。
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