共演者 鹿賀丈史さんという存在
――今回ご一緒の鹿賀丈史さんとは『シラノ』と『ラブ・ネバー・ダイ』で共演なさっていますが、濱田さんにとって鹿賀さんはどういう存在でしょう?濱田
『シラノ』では親しいお兄さん、『ラブ・ネバー・ダイ』では愛する人と言う立場でご一緒させて頂きましたが、鹿賀丈史さんという俳優の懐の深さや存在感の大きさにただ圧倒されました。鹿賀さんが舞台上にいて下さると”私は何をやってもいいんだ” ”受け止めて貰えるんだ”という安心感が凄いんです。優しさと居心地の良さで包んで下さるので役を無限に膨らませる事も出来ました。
『ラブ・ネバー・ダイ』 (写真提供 ホリプロ 撮影 渡部孝弘)
――『KING&QUEEN』は回替わりで登場するゲストの方達もゴージャスですね。
濱田
ありがとうございます。懐かしい顔も……ね。実は直接電話してオファーさせて頂いたりもしたんですよ。「ねえ、勿論出てくれるよね?」みたいな(笑)。出演してくれるメンバーが回毎に変わりますので、そのコーナーではゲストの方とご一緒に毎回違った歌を披露させて頂く予定です。
退団後は”自分”を見つめ直す日々
――濱田さんは2010年の12月に劇団を退団されましたが、劇団時代とフリーになってからで1番変わった事は何でしょう?
濱田
そうですね、やはり”劇団”というのは1つの集団なので、その中でのルールもありますし、皆が個性を強烈に出していくというのは難しい事なのかもしれません。私はその中でも比較的自分と言うものを強めに出していた方だとは思うのですが。逆にフリーになって現場で「”あなた”の個性をもっと見せて下さい。」と言われた時は凄いカルチャーショックでした。”自分”というものの立て方や役作りの仕方が分からなくなって悩んだ時期もありましたね。
”ああ、全部ゼロから自分でやらなければいけないんだな”と心を決め、怖さもある中で役や作品と向き合って……退団後に出演した三作目位からぽーんと抜ける様な感覚も分かるようになりました。オリジナルで役を作って行く楽しさみたいなものを感じられるようになったのもその頃かもしれません。退団後、それまでとは違う形で”自分”と向き合う作業をしてきたと思います。何が好きなのか、何が嫌いなのか、何が欲しいのか……。うん、沢山考えました。
――またまた敢えて質問させて下さい。これまでのご出演作の中で特に印象深い役や濱田さんにとってターニングポイントとなった作品って何でしょう。
濱田
そうですね……やはり全部ですが(笑顔)、中でもターニングポイントと言えば『アイーダ』ですね。笑っちゃうしかない位大変な事ばかりだったんですが、この作品と出会えたことで舞台俳優として生きて行く覚悟みたいなものが自分の中で芽生えたと思います。そしてその土台が出来たところで演じる事になった『ウィキッド』のエルファバ。この2つはやっぱり大きいですね。
『アイーダ』のアイーダも『ウィキッド』のエルファバもオーディションで決まりました。私ね、オーディションに臨む時は「このキャラクターを演じられる最初で最後の日」って思うようにしているんです。勿論合格してその役を演じる事になれば長いお付き合いが始まるんですが……うん、そういう後がない覚悟みたいな気持ちを持って臨んだ事が嬉しい結果に繋がったのかもしれません。
――『ウィキッド』初演の際、濱田さん、沼尾(みゆき)さんを始めカンパニーの熱気が本当に凄かったです。観る度にどんどん舞台が進化するのが伝わって、それを体感したくてかなりの回数劇場に通いました。
濱田
わあ、そう言って頂けると嬉しいです、ありがとうございます(笑顔)。『ウィキッド』はお稽古中にも色々な事があった作品です。明日「For Good」のお稽古だという日に、劇団の同期で当時大阪に住んでいた大切な友人が亡くなり……翌日「For Good」を歌いながら彼女との想い出が凄い勢いで胸に甦って来て……。沼尾さんとも一緒に食事に行って沢山話をしましたね。実はオープニングでグリンダがシャボンの台に乗って歌う場面、私、舞台袖からエルファバの気持ちになっていつもグリンダを見つめていたんです。
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