純日本流のリアリティショー
「リアリティショー」という言葉を日本に広めたのは、確かに2002年の「サバイバー」なのですが、そのコンセプトを先取りしていたかのような番組が、1999年スタートの「ガチンコ」(TBS系)でした。中でも不良少年を更生させてプロボクサーを目指させるコーナー「ガチンコファイトクラブ」が大人気を獲得しました。竹原慎二や辰吉丈一郎がコーチとなって、プロボクシング試験に合格させるというもので、スタート直後から番組の看板コーナーに。不良同士の過激な乱闘シーンや、あまりにもドラマチックな展開に「やらせ」疑惑が持ち上がりましたが、もし当初から「リアリティショー」と銘打っていれば、あれだけ騒ぎにはならなかったかもしれません。
そう考えると、ホームページ上で「リアリティショー」であることが明示されている「テラスハウス」が、あれほど“やらせ疑惑”で叩かれる理由が分かりませんね。エンディングには「<演出>前田貴人」としっかりクレジットもされてるのに……。
日本での元祖は?
このように、用語として知られる以前から、日本では実質的に「リアリティショー」が作られてきました。1992年スタートの「進め!電波少年」(日テレ系)もそうですし、85年スタートの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日テレ系)の一部企画も、いま振り返ってみると「リアリティショー」そのものでした。素人参加番組自体は、テレビ開局当時からずっと放送され続けていますが、参加者をドラマチックに捉えたという観点で、あえて日本版リアリティショーの元祖はと聞かれれば、独断ではありますが、1977年スタートの「アメリカ横断ウルトラクイズ!!」を挙げたいと思います。
それまでスタジオで静かに収録されていたクイズ番組を、当時は高嶺の花だったアメリカ旅行の中に組み込み、出場者一人一人にスポットを当てた斬新な構成。これをきっかけに広く名を知られた「クイズ王」も大勢います。今の目で見ても最高峰のリアリティショーと言えるでしょう。
リアリティショーだけでここまで長くなってしまったので、恋愛バラエティについての考察は次回とさせていただきます。乞うご期待。