切手収集/切手収集入門

奥多摩でレトロな郵便局巡りをしませんか?(4ページ目)

東京都西部に広がる多摩地域には、昭和を感じさせるレトロな郵便局が残っています。しかし維持費の増加や郵政民営化の影響もあるのでしょう。年々数が少なくなってきています。ここでは多摩地域に2014年8月時点で現役で使用されているレトロな郵便局や、現存している旧局舎などを訪ね、その魅力をあますところなくご紹介したいと思います。

板橋 祐己

執筆者:板橋 祐己

切手収集ガイド

夕方の郵便局巡りは時間との勝負!

そろそろ時計の針が16時近くになり、夏の日もかなり落ちてきました。多くの郵便局は17時で締まってしまうため、郵便局巡りは夕方になると時間との勝負になってくるのです。沢井駅の近くに銘酒澤乃井で有名な小澤酒造の直販ショップがあるのですが、残り時間が心配だったので、泣く泣く素通りしました。江戸時代から良い酒作りをしていて、ここの生貯蔵酒はとても美味しいのですが・・。
澤乃井

銘酒澤乃井で有名な小澤酒造。工場見学のほか、試飲コーナー(有料)もある。

魅惑の旧名栗郵便局

大好きな地酒の誘惑を振り切ってでも行きたかった郵便局が、埼玉・名栗郵便局です。ここは現在の局舎のすぐ隣に、旧名栗郵便局舎がそのまま現存していることで有名です。
埼玉・名栗郵便局の新旧局舎

埼玉・名栗郵便局(埼玉県飯能市下名栗)の現局舎(左)と旧局舎(右)。

郵便局長の竹田洋一郎さんによると、昭和4(1929)年に建てられた旧局舎は「木筋コンクリート造り」です。鳥(鳳凰?)の装飾は職人さんがコテで作ったもの。単純な模様ですが、ちょっとしたワンポイントになっていて、職人さんの心意気が伝わってくるようです。
旧名栗郵便局に描かれた鳥の模様

旧名栗郵便局に描かれた鳥の模様。

昭和初期には郵便だけでなく、若い女性が電話交換手として働いていました。村の若者たちが局舎の回りできれいな女性を一目見るためにコソコソしていたという微笑ましいエピソードも教えていただきました。旧局舎は昭和50年代まで使用したのち、現在の局舎に機能を移転させました。
旧名栗郵便局の入口部分

旧名栗郵便局の入口部分。

埼玉県の変形風景印第1号

ちなみに埼玉・名栗郵便局は、ユニークな変形風景印の使用局としても知られています。縁取りが杉の木の切り株になっていて、なんともユーモラス!現局長の竹田洋一郎さんが企画し、風景印のデザインの原案も作成されたのだそうです。
埼玉・名栗郵便局の変形風景印

埼玉・名栗郵便局の変形風景印。杉の木の切り株をイメージしている。

風景印使用開始の平成3年11月5日には、埼玉県の変形風景印第1号として注目を集め、全国から押印希望が殺到したそうです。竹田さんは「本当に腱鞘炎になるかと思うくらい押し続けましたよ」と懐かしそうに当時を語られていました。私事ながら、当時切手少年だった私も名栗郵便局に風景印の押印依頼をした1人で、「その節はお世話になりました」と23年前の御礼を申し上げてきました。もちろんお互いに初対面でしたが、旧知の仲間と出会えたようなうれしい気持ちでした。
風景印の受け取り

変形風景印の生みの親・竹田郵便局長から風景印を受け取る筆者。

郵便局巡りはネタ探しから!

足早に紹介してきましたが、今回の郵便局巡りでは「多摩地域のレトロな郵便局」をテーマに、奥多摩を縦走しながら7局を訪れるプランを立ててみました。最後は時間も押していましたが、朝9時から夕方17時にかけて、なんとか目標の郵便局は全部回ることができ、大満足の日帰り旅行ができました。このように、郵便局巡りは地域やテーマなどを絞って、事前に下調べをしてから行くとよいでしょう。
旧名栗郵便局舎

旧名栗郵便局などレトロな局を見たいという気持ちが郵便局巡りの出発点!

もしテーマがうまく決められないという方は、例えば「風景印の風来坊」などの風景印ファンのサイトをご覧ください。きっと今すぐにでも出かけたくなるネタが見つかると思います。

さて、次回の記事ですが、8月初旬に切手の用事で韓国へ行って参りましたので、その時のご報告をさせていただきます。
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