年金

公的年金の定期健康診断~財政検証って何?(2ページ目)

平成16年の年金改正以降、公的年金制度では5年に1度、財政検証が実施されます。財政検証は公的年金の定期健康診断といわれます。平成26年の財政検証が、どのような検証結果となったのかを解説し、あわせて財政検証の基本的なしくみをご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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財政検証とは

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様々な条件を設定して年金財政を計算していきます

財政検証とは、年金財政に影響を与える要素である人口や経済の今後の見通しについて、現実的と思われるさまざまな前提条件から将来の試算を行い検証する作業になります。しかし、ライフプランと同様、時間がたつにつれて当初の設定と現実とのズレが生じることは避けられないため、そのズレを5年に1度修正していくものです。公的年金財政の定期的な「健康診断」といえます。このため、財政検証では人口や経済などがどのように変化するのか複数のケースを設定して、ケースごとに将来の給付水準がどうなるのか検証を行います。

また、財政検証においては、それぞれのケースにおける将来の公的年金の給付水準の見通しを所得代替率で考えます。所得代替率とは、年金を受給し始める時点の年金額が、その時の現役世代の手取り収入額(賞与込)と比較してどのくらいの割合かを示すものです。

平成16年改正後の財政フレームでは、今後の少子高齢化の中で給付水準を自動調整する仕組みにおいても、この所得代替率がモデル世帯(※)で50%を上回ることとされています。所得代替率が50%とは、そのときの現役世代の手取り収入の50%を公的年金として受給するということになります。また、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合は、50%で給付水準調整を終了し、給付と負担の在り方について検討を行うこととされています。

※「モデル世帯」とは、厚生労働省が設定している会社員世帯で、「夫が民間企業の会社員として平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯」としています。
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