平成26年の財政検証

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財政検証により年金制度の将来を予測します

平成26年は財政検証の年にあたり、厚生労働省から6月にその結果が発表されました。それでは、その結果はどうなっていたのかみていきましょう。

はじめに、平成26年の財政検証の社会・経済状況についての前提条件をみていきましょう。平成26年の財政検証では、将来推計人口(少子高齢化の状況)・労働力率・経済に対して以下のような前提条件を設定しています。

1.将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提
合計特殊出生率と死亡率について、高位・中位・低位の3通りを設定。

2.労働力率の前提
将来の経済状況の仮定に応じ「労働市場への参加が進むケース」、「労働市場への参加が進まないケース」のいずれかを使用。

3.経済前提
年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会における検討結果に基づき設定。
●平成35年度までの前提
内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(平成26年1月)」の「経済再生ケース」、「参考ケース」に準拠して設定。
●平成36年度以降の長期の前提
内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を幅の広い複数ケース (ケースAからケースHまでの8ケース)で設定。それぞれのケースにおいて、物価上昇率や実質賃金上昇率などの経済前提の範囲を設定した。なお、実質経済成長率においても、それぞれ経済モデルを設定した。

検証結果が、前提条件によりどのように変わるのか具体例でみてみましょう。人口の前提条件を「出生率:中位、死亡率:中位」として、経済の前提条件がケースAからケースHまで変動した場合、所得代替率の将来見通しは以下のようになるという結果でした。
財政見通し

(厚生労働省HPより、クリックすると拡大します)


この結果から、労働市場への参加が進む高成長ケース(A~E)であれば、マクロ経済スライドによる給付水準調整終了後の標準的な厚生年金の所得代替率(厚生年金と共済年金の一元化モデル)は50%以上になるという結果でした。しかしながら、労働市場への参加が進まない低成長ケース(F~H)においては、給付と負担の在り方について検討を行うこととされている50%を下回ることになるという結果になりました。

今回の結果から、ある程度の経済成長が見込まれれば、将来的に公的年金の給付水準は所得代替率50%を維持できるということがわかります。また、そのためにも高齢者や女性などの雇用政策が重要になってくることも確認できます。ただ、そのようなシナリオどおりにいかないケースに備えて、さらなる制度の検討へ向けた議論も行われる予定です。その検討の第一歩として、今回の財政検証では、マクロ経済スライドの仕組みの見直しや被用者年金の適用拡大、保険料拠出期間の延長等についてオプション検証も行われています。

このように公的年金は、長期的な見通しとして、モデル世帯(厚生年金世帯)で所得代替率50%という値が1つの目安となっていくといえます。したがって、個人年金や企業年金といった私的年金と組み合わせて老後所得全体を考えることが今後ますます必要になってくるといえます。公的年金と私的年金の役割分担を明確にしたうえで、ゆとりのある老後を目指して早めに備えていくことが重要でしょう。

公的年金の財政や財政検証については理解するのは難しいですが、厚生労働省ホームページではわかりやすい漫画で財政検証のしくみを解説していますので参考にするとよいでしょう(「いっしょに検証!公的年金」)。

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