100年店ランチ/東京の100年店ランチ

揚子江菜館(中華/神保町/創業1906年)(2ページ目)

富士山型の盛り付けの冷やし中華、その発祥の店へ……今回は、かつての文化人たちも通った中華料理店「揚子江菜館」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド


元祖冷やし中華、盛り付けの“富士山”型は同店発祥

富士山型に盛り付けられた冷やし中華

富士山型に盛り付けられた冷やし中華

夏の日差しが強いとある日、12時前に1人同店へ向かいます。赤い門構えがなかなかインパクトありますね。大きくない間口ですが1階から5階まである同店。入店すると、「こちらへどうぞ」と1階の4人掛けのテーブル席に案内されます。ランチの営業は11時半からですが、すでに結構席が埋まっています。

オーダーは過去にもいただいたことがありますが、同店名物の「五目冷やし(五色涼拌麺)」(1510円)です。グルメや食通の間でも有名なこちら、“冷やし中華の元祖”に数えられています。冷やし中華発祥の店としては、揚子江菜館とともに、宮城県・仙台の「龍亭」が挙げられるケースもありますが、揚子江菜館は“富士山”型の盛り付けの発祥店です。

サービスの焼売(シューマイ)

サービスの焼売(シューマイ)

注文の冷やし中華を伝えると、ランチメニュー以外の単品の場合は、サービスの「焼売」か「杏仁豆腐」のどちらを選ぶか聞かれます。この日は焼売をチョイス。するとすぐにこちらの焼売2個が運ばれてきます。しっかりとした焼売なので、休日などはこれでビールを飲みながらメイン料理を待つ、なんていう流れも良さそうです。

そして運ばれてきた冷やし中華……具材が斜めのそそり立つ、まさに富士山スタイルですね。麺が見えないほど使用されている具材は、キュウリ、チャーシュー、タケノコ、寒天、海老、シイタケなど10種類。“火口”部分にはたっぷりの錦糸卵が載っていて、この中にうずらの玉子と肉団子が2つずつ隠れています。見た目も含めて、なかなかにぎやかです。

食器類や箸袋には京劇のキャラクターが

食器類や箸袋には京劇のキャラクターが

少しずつ“山”を崩しながら麺と具を一緒に食べ進めますが、豊富な具材のおかげで飽きが来ないですね。甘酸っぱいタレにからむ麺の量もあり、なかなかボリュームのある一品です。

こちらの冷やし中華の考案は1933年(昭和8年)のこと。同店2代目が夏用の料理として開発します。盛り付けで富士山の四季を意識。チャーシュー=春、キュウリ=夏、タケノコ=秋、寒天=冬。そして富士山頂にかかる雲を、錦糸卵で表現したといいます。

でも、冷やし中華が1510円かぁ……と、判断が分かれそうな価格ですが、そのボリューム、プラス焼売、アンド“元祖の物語”込み……どうでしょうか。

かつての文化人たちが好んだ「上海式肉焼きそば」

ランチメニューの青椒肉絲。ライス、ザーサイ、スープが付く

ランチメニューの青椒肉絲。ライス、ザーサイ、スープが付く

別日に今度は、焼きそば好きな友人と2人で13時くらいに伺います。私は通常のランチメニュー狙い、友人はもう1つの同店名物の焼きそば狙いです。この日は2階の席へ通されます。上階へは1階奥のエレベーターを使用。お昼時はいつ行っても席が埋まっていて、人気の高さを感じますね。

私のオーダーは、複数あるランチメニューから「青椒肉絲(チンジャオロース)」(980円)を。友人は「上海式肉焼きそば」(1300円)を頼みます。こちらの焼きそばには、過去コンテストで優勝したこと、かつての文化人たちが好んで食べたエピソードが表記されています。都内に点在する、いわゆる“池波正太郎が愛した一品”の1つですね。私も以前いただきましたが、焼きそばを名乗りながら“蒸そば”が多い現状の中で、しっかりとそばが焼かれている、との印象があります。
上海式肉焼きそば

上海式肉焼きそば

運ばれてきた青椒肉絲は彩りが良く、食欲をそそってくれます。一方の上海式肉焼きそばは、逆にほぼ茶色一色で彩りはありませんが、焼き目の付いた細麺……ボリューム感がありますね。こちらは単品なので焼売(もしくは杏仁豆腐)が付いてきます。青椒肉絲はまさに中華王道のそれ、焼きそばはそれほど脂っこくなく、すいすい食べられます。友人とお互いのメニューを少しずつシェアしながら、あっという間に完食を……ごちそうさまです。

中華料理店はランチタイムが長い傾向がありますが、同店は昼休憩の無い“通し営業”、かつ年夏年始以外“年中無休”です。ランチタイムを逃した場合や、日曜・祝日の店選びで困った際にも重宝する一店ですね。

店頭には写真入りのメニュー掲示も

店頭には写真入りのメニュー掲示も

富士山型の冷やし中華、初めて始めました……という中華料理店で、ランチはいかがでしょうか?

■揚子江菜館
・住所:東京都千代田区神田神保町1-11-3
・TEL:03-3291-0218
・営業時間:11:30~22:00
・定休日:年中無休(年末年始を除く)
・地図:Yahoo! 地図情報
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