道に迷ったドキドキの場面から始まる『とんとん とめてくださいな』

表紙には、ハイキング姿の3匹のねずみ。2匹は地図を広げて顔を見合わせ、1匹は疲れた表情で地べたに座り込んでしまっています。どうやら道に迷ってしまったよう。日は暮れてきて霧も出てくるという非常事態からお話は始まりますが、遠くに灯りがついて煙突から煙が上る家がありました!

しょっぱなからドキドキさせられたけどホッ。しかし、「とんとん、とめてくださいな」とドアをいくら叩いても返事はなし。ドアを開けても誰の姿もない家の中。一体誰の家なのでしょう。部屋の中をよく見回すと、それが分かるヒントがあちこちに見られますが、絵本の中の疲れ切った3匹は、そこまでの余裕はないようです。誰の家だかわからないのにベッドにもぐり込んでしまうなんて、これからお話はどうなっていくの!?

 


緊張感の繰り返しのあとに訪れる、大きな「ホッ」

3匹のねずみが広いベッドにもぐり込んで間もなく、足音と「とんとん、とめてくださいな」の声。3匹たちと同じ境遇のほかの動物たちでした。こんなことが繰り返され、ベッドが満杯になってしまったところ、大きな足音と共に、無言でドアが開き、大きな黒い影がベッドに覆いかぶさってきます!

ふとんにすっぽりもぐって震えながら泣き出したり、寝たふりをしたり。大きな影がふとんをめくると、たくさんの動物たちが何ともかわいい姿で抱き合う姿が現れます。優しい声が、おびえる動物たちを包み込みました。

とことんドキドキさせられた後の、大勢での和やかな団らん。小さな子どもたちにはたまらない展開ですね!


絵の細やかさを味わいながら、何度でも

ストーリーは決して珍しくない素朴な展開ですが、優しくてかわいらしい雰囲気に満ちた絵は、よく見ると細部まで楽しみが詰まっています。最初のページで、3匹のねずみの1匹は、何かに目を留めながらも、それが何であるか気付かなかったよう。ドアノブも、ベッドの柱も、ブックエンドも愛読書も、家の主の趣味がストレートに表れていることに気づけるのは、4~5歳ぐらいからかな? でも、2~3歳の子も引き込まれる絵本です。

幼いころに大好きで、我が子と一緒に読む方も多いようです。世代を超えて愛される秘密は、やっぱり、ドキドキ続きの緊張感の後に訪れる安堵感、登場する動物たち、読み手たちを包み込む優しさ、温かさに満ちた雰囲気でしょうか。




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