国立劇場に隣接している伝統芸能情報館に行ってきました。
伝統芸能情報館では、歌舞伎・文楽・能楽など、日本の伝統芸能に関する資料が収集・所蔵・公開され、次世代に伝える展示や講演が行われています。
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国立劇場すぐ脇にある伝統芸能情報館

都度企画展を開催しているようですが、
2014年6月2日から9月22日(月)まで、1階の情報展示室で企画展「歌舞伎入門」を開催しています。三世代におすすめできる内容でしたので、ご紹介いたします。

歌舞伎に親しもうと思っていても、独特の用語や約束事などがあり初心者や子どもにはむずかしく思われがち。
今回の「歌舞伎入門」では、そういった用語や約束事を、国立劇場の収蔵する舞台写真や資料、衣裳や小道具を展示して解説してくれます。

ただ、まったく歌舞伎に関わったことがないというよりは、やはり1度でも2度でも歌舞伎を経験してから行ったほうが、より楽しめるのではないかと思います。

タッチパネルで舞台の仕組みを知る

入口すぐのコーナーでは、バーチャルで歌舞伎舞台の仕組みを観ることができます。
3DCGを使って歌舞伎の舞台や仕組みが解説されており、タッチパネルで簡単に操作でき、説明の文言は振り仮名つきです。
指で画面上の幕を引けば舞台が現われます。何もない舞台には、吊り物、セリ、黒御簾などといった文字がふわふわと画面上に浮いており、押せば解説が読める仕組み。
文化デジタルライブラリー」の紹介もあります。
文化デジタルライブラリー」とは、独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する「伝統芸能を調べる・見る・学ぶためのサイト」です。
自分のパソコンからでもいつでも気軽にアクセスできて、伝統芸能について簡単に学べるサイトですが、知らない人も多いので、こちらでサイトについて知って帰りましょう。

文化デジタルライブラリー」の中でもとにかく便利なコンテンツは、「歌舞伎辞典」です。

歌舞伎について、わからないことが簡単に調べられるので、小学生なら自発的に歌舞伎について学べるのではないでしょうか。

歌舞伎十八番の小道具展示

中に入ると、歌舞伎十八番の小道具の展示があります。『毛抜』の舞台で使われる「毛抜き」や「磁石」は、本来の道具はとても小さなものですが、舞台で重要な役割を持つ小道具ですから、観客に強調するためにとても大きくしているのですね。舞台自体も楽しい演目ですが、「こんなに大きいんだね」と会話もはずむことでしょう。

道具帳などの展示

左手には芝居絵、花道の説明、道具帳などの展示がされています。
道具帳とは、実物の50分の一に縮尺された舞台装置の立面図で、この道具帳に書かれた絵をもとに、大道具さんはセットや背景画を作ります。
道具帳は、上演ごとに新しく作られる繊細で美しい絵でありますが、これをもとに舞台が作られるわけですから、いわば血の通った舞台を凝縮して時を止めている魔法の絵のようなもの。絵本のように美しい道具帳をここで見ることができます。

花道の説明

歌舞伎の舞台独特の構造のひとつが花道。花道は舞台であって、時には道であり、廊下であり、時にはほかの世界と結ぶどこでもドアのような存在でもあります。客席との親近感も持つことができたり、すっぽんといった仕掛けからこの世にはない化け物が出てきたり。そんな花道の説明がされています。

女方を知る

歌舞伎と言えば、女方の存在を無視はできませんね。江戸時代に女歌舞伎が禁止されたことから男性の俳優が女性の役を演じるようになりました。女方の芝居絵などが展示されています。また往年の役者たちの写真には、お年寄りもなつかしさに目を細めることでしょう。
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豪華な「京鹿子娘道成寺」の衣装にうっとり。


歌舞伎の大道具展示

菅原伝授手習鑑で使われるサクラの木が展示されています。このサクラは、物語の中でのちの悲劇を暗示するような重要なシーンで使われます。サクラがタイミングよく折れる仕掛けを見ることができます。
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サクラが折れる仕掛けに興味津々

黒衣について

歌舞伎のおもしろいルールのひとつに「黒衣」があります。黒い衣裳を着て頭も顔も黒い布で隠しているのでこう呼びます。黒くても観客からは丸見えですが「黒は観客からは見えないモノ」というのが歌舞伎のルール。舞台で必要な小道具を出したり、いらなくなった小道具を片付けたり、衣裳の着替えを手伝ったり、活躍する黒衣についての説明があります。ちなみに国立劇場のゆるキャラは、この黒衣でその名も「くろごちゃん」。くろごちゃんは、子どもたちに愛されるキャラクターとして活躍中です。

シアタースペースにはお宝映像が!

さて、奥のシアタースペースでは、50インチの大画面で4本の自主企画映画、上映用コンテンツを見ることができます。特におススメなのは「歌舞伎の魅力 女方」32分 です。昭和54年に作成されたもので、当時の貴重な映像を観ることができます。舞台だけではなく、同じ場面の練習風景と実際の舞台が録画されているのです。
若き十八代目勘三郎が、十七代目勘三郎に女方の指導を受けているところや、若手が歩き方ひとつひとつに厳しく指導されているところなど、大変興味深い映像です。

お年寄りにとっては、十七代目勘三郎をはじめとした名優が出てくることは文句なくうれしいだろうし、子どもにとっては女方の演技をこのような地道な努力の積み重ねによって培われてきたことがわかれば、これから舞台の見方もかわってくることでしょう。

真摯に先輩の教えに従い練習を重ねている当時の若者が、今押しも押されもせぬ名優となっているのを見ても(亡くなっている方もいますが)、感慨ひとしおです。

このほか、「歌舞伎の魅力 景清の衣装」32分(十二代目市川團十郎の魅力が堪能できます) 「国立劇場めぐり」15分 「文楽を味わう」26分 を椅子に座ってゆったりと楽しむことができますので、時間に余裕があればぜひ観ることをおすすめします。

入場無料でこれだけ楽しめて、大変お得な感じがする「歌舞伎入門」。
三世代でぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
歌舞伎について調べれば、夏休みの宿題もクリアできそうです!

国立劇場伝統芸能情報館
・住所:千代田区隼町4-1
・TEL:03-3265-7061
・企画展示「歌舞伎入門」は、2014年6月2日(月)~9月22日(月)
・アクセス:半蔵門駅(東京メトロ半蔵門線)出口1より徒歩5分
永田町駅(東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線)出口2,4より徒歩8分


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