ジャケのモデルはハコさん
ガイド:では、アルバム『幼き頃の夢の影、瞼に未だ消えず』についてお伺いします。ジャケのイラストから、レンダの雰囲気が伝わります。セミヌード・モデルはもしかしてハコさん?
幼き頃の夢の影、瞼に未だ消えず (amazon.co.jp)
01. インスマス
02. dunklen stelle
03. らえるかんの兄妹
04. 撒かしょ
05. かくれんぼ
06. 星が巡るのを知った
07. 赤
08. 輪郭
09. 円環模様
10. 夜明けの街角
11. 青
「幼き頃の夢の影、瞼に未だ消えず」ダイジェスト (YouTube)
ハコ:
恐れ多い事に、私の印象を元に書いて下さったとの事です。
ヒコ:
ジャケットは手前味噌ですが、本当に素晴らしいと思います。アルバム作成の話が具体的に出る前から、CDを出す時はジャケットイラストをイラストレータの夜舟さんにお願いしようという事だけは決めておりました。
完全分業制
ガイド:曲のクレジットを見ると、共作ではなく、それぞれ一人で作詞作曲となっていますね。ご夫婦でありつつも、曲を作る時は各自がコツコツとやっているのでしょうか?
ヒコ:
作詞も作曲も完全分業制です。2人で共作すると片方がバランサーになってしまう部分があるように感じておりまして。お互い善意で濁し濁されてしまうのは避けたくてですね、なんというか、「好きだから作る」という作品は例え稚拙でも純度が高くないと勿体無いかなと。歌詞も口出し無用で、完成まで一方が抱え込みます。いちおう統一感を出す為のリミックスは僕がやるのですが、ここだけは共同作業の名の下に何度も何度もリテイクを喰らっております。
ガイド:
夫婦なのに、いえ、夫婦だからこそ、お互いに必要以上に干渉しないというのはユニットをやっていく上での重要な秘訣かもしれませんね。
ラブクラフトはサブカル必携図書
ガイド:オープニングの「インスマス」…インスマスって何だろうと調べてみると、H・P・ラブクラフトというアメリカのホラー系小説家の作品に出てくる架空のゴーストタウンとありました。僕の持つレンダのイメージにハマるので、きっとラブクラフト作品がお好きなんではないかと。
ヒコ:
ラブクラフト、夢野久作、江戸川乱歩は我々の世代のいわゆるサブカル必携図書でしたから(笑)。未だに自分の引き出しの中でも手に取りやすい部分に配置されている辺り、血肉になってるのだなぁと。
90年代のサブカルチャー
ガイド:「drunklen stelle」はタイトル、そして歌詞の一部にドイツ語が出てきますね。Blohm & Vossはドイツの造船会社ですね。ドイツには、ゴシック系のエレクトロポップ(ダークウェイヴとかコールドウェイヴとか呼ばれることも)がいますが、ドイツには特別な想いがあるのでしょうか?
ヒコ:
dunklen stelleはですね、すみません、実はなんとなくですね、”さぁ!駆け出してミッドナイトハイウェイ”みたいな掛け声→日本語→外国語構成の、いわゆる80年代のステレオタイプな歌詞の構成で書いてみたかった曲でして。ドイツ語を選んだのは、思い入れというより単にケレン味があるからです。ゴスを標榜してはおりますが、ゴスやニューウェイヴを始めとしたジャンルやシーンへの正しい理解、純度の高い興味や関心から作り上げる作品いうよりも、多感な時期にドップリ浸かっていた90年代のサブカルチャー的な映画、お芝居、小説や漫画、音楽、それらを昇華というよりは、醸造されてドブロクみたいになった物をいま少しづつ吐き出している様な感覚です。