熱帯夜の暑苦しさを吹き飛ばしてくれる絵本
じっとりと汗ばむ真夏の夜は不快指数もうなぎのぼり! そんな夜の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれる夏の風物詩といえば打ち上げ花火です。線香花火などご家庭で楽しむ花火も風情がありますが、ひと夏に1度は豪快な花火を楽しみたいものです。「でも赤ちゃん連れで花火見物はまだ無理……」という方に、絵本『はなび ドーン!』をおすすめします。臨場感たっぷりの絵本に、花火を見たことのない赤ちゃんも大興奮です。大輪の花を咲かせる花火絵本で熱帯夜の暑苦しさも吹き飛ばしてしまいましょう。
お腹にずんと響く花火の音まで聞こえそう『はなび ドーン!』
表紙を開くと、打ち上げ花火が始まる少し前の夕空の色に似た瑠璃色の遊び紙(※)が目に飛び込みます。そして、大輪の花火が描かれた扉を開ければ、時間の経過を表わすように真っ暗になった夜空が広がります。そこにはもう昼の名残はありません。ただ、真夏の夜の闇だけが描かれています。おや? 小さな豆粒ほどの光が、シューッと天高く昇って行くのが見えました。いったい何が始まるのでしょうか? 小さな読者は息をこらして画面を見つめます。大人の皆さんはもうおわかりですね? 「パンッ ドドーン」菊先(きくさき)と呼ばれる打ち上げ花火です。金色に輝く星粒が尾を引きながら四方に散り、大輪の花を咲かせました。最初の一発から「玉屋~!」と掛け声をかけたくなるほどの美しさが、紙面いっぱいに広がります。
こうして始まった花火大会は、次々に色々な花火が打ち上げられ、クライマックスに向けて実際の花火大会のように、だんだんと色鮮やかに美しくなっていきます。聞こえてくる打ち上げ音も徐々に激しさを増し、ズズーンとお腹に響くような花火音のあの迫力さえ思い出されるほどです。
赤ちゃんが大きくなったら、本物の花火をぜひ見せてあげたいですね
ただ、読み方にはちょっぴりコツがいるかもしれません。花火がシューッと上がったその後にページをパッとめくるまで、いつもよりほんの少し「タメ」を作って読んでみてください。開く花火への期待が一層高まって楽しさも倍増します。
【書籍DATA】
カズコ G・ストーン:作
価格:1026円
出版社:童心社
推奨年齢:1歳くらいから
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<参考>
※遊び紙とは、書物の見返しと本文の間に入る紙のこと。