地域ごとの風の流れを把握する
効果的な窓の配置がポイント
家の中を風が通り抜けやすくするためには、ただやみくもに窓の数を増やせばいいものではありません。その地域毎の風の特性を理解し、風を屋外から屋内へと誘導するような窓の計画が必要です。
地域ごとの自然風の利用を知るために
地域ごとに、どのような風が吹いているかを知る一つのデータに一般社団法人 建築環境・省エネルギー機構の公表している「気象データ」があります。調べたい地域をクリックするとその地点の平均風速、開口面の設置に適した方位の判定票(起居時:7~22時、就寝時:23時~6時)などを見ることができます。
【図2】月別風配図(起居時)。自立循環型住宅ガイドラインホームページより引用編集
【図2】は東京都のとある地点のデータです。起居時(7~22時)の間の季節ごとの風向きを示しています。真夏の8月は赤い線で表示され、南~南南東~南東の方角が風上になり、北~北北西~北西の方向が風下になることが読み取れます。従って、自然通風の取り込みにはこの方角に窓をつけると効果的であることがわかります。
また、元データの同じページには就寝時(23時~6時)の風向きのデータも掲載されています。寝室など、夜に過ごす部屋の計画にはこの就寝時のデータを参照しましょう。
通風に効果的な窓のつくり方
【図3】通風のイメージ
室内にこもった熱い空気は上の方にたまっています。通風を利用して上の方にたまった熱い空気を外部に排出するのです。トップライトを設けたり、階段上部に風の出口になる窓を設けるなど、高低差を利用した通風計画が効果的です(【図3】)。
敷地周辺の環境もチェック
自然通風には、敷地周辺の環境も大きな影響を与えます。例えば高層ビルに囲まれた立地や住宅密集地などでは風の流れも変わります。それらの条件も考慮して効果的な窓の配置を考えましょう。自然通風の活用は外気温が高い時はNG
今回、自然を生かして涼を得る「涼房(りょうぼう)」の住まいに必要な条件として、日射遮蔽と自然通風に着目しました。自然通風に関しては、外気温が高い場合は室内に熱い空気を取り込むことになってしまうめ、目安として外気温が26℃から28℃程度を下回る場合に適しています。また、冬場には「温房(おんぼう)」という考え方があります。暖かい太陽光を取り込んで、自然の力を最大限利用して温かく住まうという考え方です。寒い季節になりましたら、また別に取り上げたいと思います。
【関連サイト】
一般社団法人 建築環境・省エネルギー機構
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