腰痛の多くは、実は原因が特定できない

腰痛の多くは、原因が特定できない「非特異的腰痛」

腰痛の多くは、原因が特定できない「非特異的腰痛」

様々な調査によると、腰痛の多くは実は原因が特定できない「非特異的腰痛」とされています。世界的に権威のある医学雑誌に掲載された研究では、85%が原因が特定できない「非特異的腰痛」とされており、背骨の手術を行ったのにもかかわらず、意外にも半数以上は腰痛が改善できないともいわれています。

上殿皮(じょうでんひ)神経障害という聞きなれない腰痛

腰痛の原因は多々ありますが、その中に「上殿皮神経障害」というものがあります。上殿皮神経障害は医師が勉強する教科書にもあまり触れられていないため、一般の方が聞きなれないのは当然です。最近はこの神経障害が原因の腰痛が多いのではないかと、注目されつつあります。

上殿皮神経は腰より少し上から臀部の上の方へ下がってくる神経ですが、骨盤の骨である腸骨を乗り越える際に障害されて痛みを出すことがあります。腰痛の原因としては、すでに1950年代に報告されていますが、あまり日の目をみずに現在に至りました。

上殿皮神経障害とはどんな腰痛?

腰の写真

上殿皮神経障害による腰痛は、腰の真中から7~8cm外側あたりが腰をひねったり、反ったりして動かすと痛みがあります

上殿皮神経障害による腰痛は、腰の真中から7~8cm外側あたりが腰をそらす、ひねるなどの運動で痛みが強くなるのが特徴です。また、長く立っていたり、歩いたりすることでも痛くなることがあります。

上殿皮神経障害は、全ての腰痛の2%程度と以前は言われていましたが、最近では12%程度あるのではないかとの意見もあり、実際にはもっと多いのかもしれません。

上殿皮神経障害の原因については今のところ明らかにはされていませんが、我々は椎体骨折や腰椎術後、不良姿勢、パーキンソン病など多種多様のものが原因であったものを経験しています。

上殿皮神経障害はどのように診断する?

上殿皮神経障害は、レントゲンやCT、MRIなどの画像による診断ができません。そのため、上に示したような症状から疑いにかかります。症状が強い場合には、上殿皮神経をブロック(麻酔を用いた治療法の一種)し痛みがよくなることによって、上殿皮神経が痛みを出していたことを確認します。

注意すべきは、上殿皮神経は2mm程度と細くレントゲンに写らないため、その時は上殿皮神経をブロックできていなかっただけ、ということもあります。そのため効果がなかったり、効果が弱かった場合であっても、日をまたいでブロックを数回試すこともあります。

上殿皮神経障害の治療

一般の腰痛と同じように、薬や湿布、理学療法などを行いますが、症状が強い場合には上殿皮神経ブロックを行います。ブロックを1回、もしくは繰り返すことで、痛みが軽減することもありますが、こういった治療でも痛みが強く日常生活へ強く影響している場合には、手術を行うこともあります。

上殿皮神経障害の手術は、締めつけられたり、つぶされている上殿皮神経をみつけ、解除したり、切断したりします。全身麻酔で行う施設もありますが、我々のように局所麻酔で数日の入院で行っている施設もあります。背骨の手術と比べれば、体への負担が少ないのが利点です。

一方、問題点としては、まず数mmの上殿皮神経を厚い脂肪層の中から探し出さなければいけず、時間がかかったり、見つけられないこともあります。更に、数本ある上殿皮神経のうち、どの神経を処理すべきか、手術中に判断できないことや、残した神経が後から痛みを出してくることもあります。

おわりに

腰痛の多くは実はその原因が不明であり、痛みがなかなか取れないこともあります。背骨の手術によっても、一部で腰痛が残り、日常生活へ影響を与えることも多いのですが、そのような中に今回紹介した上殿皮神経障害が含まれている可能性があります。もちろん難治性でなくとも、日常実感する腰痛の中に上殿皮神経障害が原因のものもあります。なかなか診療している病院、医師が少ないのが現状ですが、気になる方は医療機関へ相談してみてもいいかもしれません。




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