ドイツ/ハンブルクと北ドイツ

リューベックの観光スポットおすすめ11選!世界遺産の町を散策

北ドイツのリューベックは「ハンザの女王」と呼ばれる美しい町で旧市街は世界遺産に登録されています。ここでは必見の歴史的建物や博物館、名物の絶品マジパン、路地裏のおすすめなど観光スポットをまとめました。ハンザの面影を感じつつ散策を楽しんでください。

坪井 由美子

執筆者:坪井 由美子

ドイツガイド

「ハンザの女王」と称えられた美しい町、リューベック

luebeck

聖ペトリ教会の展望台から見たリューベック全景。水に囲まれたレンガの旧市街が美しい! (C)LTM

<目次>
ドイツ北部のバルト海沿岸の町では、かつてのハンザ同盟の面影がいたるところで見られます(ハンザ同盟とは……中世時代に通商、交易上の利益保護を目的として結成された連合体で、王侯貴族の支配を受けない自由都市のネットワーク)。
 
帆船や遊覧船が浮かぶ港

帆船や遊覧船が浮かぶ港

なかでも当時の繁栄ぶりを色濃く残している町がハンザ同盟の盟主として実権を握っていたリューベック。「ハンザの女王」と呼ばれるほど美しい旧市街は世界遺産に登録されています。
 
ショップが連なる目抜き通り

ショップが連なる目抜き通り

ハンザ都市で世界遺産の美しい町といえばヴィスマールも挙げられますが、こじんまりとして知る人ぞ知る穴場的なヴィスマールにくらべるとリューベックはより大きくて観光地としてもメジャーな町。とはいえ、見どころはトラヴェ川とトラヴェ運河に囲まれた旧市街に集まっているので歩いて十分見て回ることができます。
 
小道の奥に現れた中庭!

小道の奥に現れた中庭!

リューベックは3人のノーベル賞受賞者を輩出している町で、見ごたえある博物館がいくつもあります(※最初に入った博物館のチケットがあれば次の博物館の入場料が半額になる制度があります)。この記事では、歴史的な建物や必見の博物館、名物マジパンの殿堂などリューベックに行ったら見逃せない観光スポットをまとめてみました。旧市街の裏通りには秘密の抜け道や中庭も潜んでいるので冒険気分でお散歩を楽しんでくださいね。
 

リューベックへのアクセス

ハンブルク中央駅からリューベック中央駅までREで約45分。ベルリン中央駅からの場合は特急ICEでハンブルク中央駅まで約1時間40分、快速電車に乗り換える。

リューベック中央駅から旧市街までは徒歩約10分。駅の中心地方面出口(Stadtmitte)を出てKonrad-Adenauer-Strに入り、前方に見える「ホルステン門」を過ぎると旧市街に入ります。

リューベックの観光案内所
住所:Holstenplatz 1 23552 Lübeck
TEL:0451-8899700
 

リューベックのシンボル「ホルステン門」

holstentor

旧市街の入口に鎮座するホルステン門。壁の厚さは3.5メートルという重厚さ!

駅から旧市街へ向かうと見えてくる二つのとんがり屋根の門が、リューベックのシンボル「ホルステン門(Holstentor)」。50マルク紙幣のデザインにも使われていた、ドイツで一番有名な門です。門の上部に書かれているラテン語は「内に結束を、外に平和を」という意味。15世紀後半に町の防衛のために建てらた頑丈な門ですが、あまりの重さに一部が地面に沈んでしまったためよく見ると全体が少し傾いています。塔の内部は市の歴史博物館になっていて、中世時代の貿易や町の歴史に関する資料や模型が展示されています。

<DATA>
Museum Holstentor(博物館)
住所:Holstentorplatz  23552 Lübeck
TEL:0451-1224129
営業時間:4~12月10:00~18:00 1~3月11:00~17:00(月休み)
入場料:大人7ユーロ
アクセス:中央駅から徒歩7分
 

ハンザ同盟盟主の繁栄を伝える「市庁舎」

rathaus

様々な建築様式が混然一体となったユニークな市庁舎。広場では市も開かれる

リューベックの旧市街には、中世に建てられたレンガ造りの建物がたくさん残っています。なかでも町の中心地、マルクト広場に建つ市庁舎(Rathaus)は、ハンザ同盟の盟主としての繁栄ぶりがうかがえるゴシック様式の立派な建物。当時は政治的に重要な会議もここで行われていたそうです。リューベック特有の黒レンガや緑色のとがった塔、バルト海からの強風を通すための大きな丸い穴が開いた壁、16世紀に増築されたルネッサンス様式の白いアーケード部分など様々な建築様式が混然一体となって他に類を見ないユニークな建物になっています。ゴシック様式の議会ホールやロココ風の謁見の間など内部の見学はガイドツアーで。

<DATA>
■Rathaus
住所:Breite Str. 62 23552 Lübeck
TEL:0451-1221005
開館時間:ガイドツアー 月~金11:00/12:00/15:00 土日13:30スタート
入場料:大人4ユーロ
アクセス:中央駅から徒歩約12分
 

マジパンの殿堂「ニーダーエッガー」

マジパン

本当においしいマジパンはリューベックにあり!ニーダーエッガーで食べてみて!

リューベックの名物といえば世界的に有名なマジパン(ドイツ語ではマルチパン)。市庁舎前にある1806年創業の「ニーダーエッガー(Niederegger)」はドイツ全土にその名を知られるマジパンの名店。ありとあらゆるマジパン菓子が揃うショップ、ケーキやお茶がいただけるカフェ、マジパンの歴史を学べるミュージアムが併設された、まさに「マジパンの殿堂」です。日本でマジパンといえば脇役の印象ですが、ニーダーエッガーの新鮮なマジパンを食べるとその概念が覆されること間違いなし。リューベックに行ったらぜひお試しください! 

詳細記事>>>本当に美味しいマジパンはリューベックにあり!/ドイツ

<DATA>
Niederegger
住所:Breite Str. 89 23552 Lübeck
TEL:0451-5301-126
営業時間:月~金9:00~19:00土9:00~18:00日10:00~18:00
アクセス:マルクト広場の隣

続いては、旧市街で必見の歴史的建築物をご紹介します。
 

バッハも通った「マリエン教会」

marien1

バルト海沿岸の教会のお手本となったマリエン教会。パイプオルガンや天文時計など見どころがいっぱい

1250年から100年もかけて建てられたマリエン教会は、ドイツではウルム、ケルンに次ぐ3番目に大きい教会。レンガゴシック様式の教会としては世界最大の高さ、パイプオルガンも機械仕掛けとしては世界最大という立派な教会で、バルト海沿岸の多くの教会のお手本となりました。かつてこの教会のオルガニストだったブクスフーデのレッスンを受けるために、かの偉大な音楽家バッハが通いつめたという逸話も残っています。
 
戦争の悲惨さを伝える壊れた鐘

戦争の悲惨さを伝える壊れた鐘

第二次世界大戦の空襲で破壊された後に復元されましたが、割れて地面にめりこんだ鐘はそのままの姿で残され平和を願うモニュメントとなっています。

<DATA>
St. Marien Kirche
住所:Marienkirchhof 23552 Lübeck
開館時間:4/1~10/3 10:00~18:00、10/4~10/31 10:00~17:00、11/1~3/31 10:00~16:00 日曜10:00からミサが行われる
入場料:大人2ユーロ
アクセス:中央駅から徒歩約12分
 

中世時代に建てられた社会福祉施設「聖霊養老院」

hospital1

大ホールに170もの小部屋が並ぶ。部屋は寝るスペースだけのごくごく質素なもの

リューベックがハンザ同盟で栄えた中世時代、裕福な市民(多くはハンザ商人たち)はお金儲けだけに終わらず、貧しい人々のための福祉施設をいくつも作りました。13世紀後半に建てられた「聖霊養老院(Heiligen-Geist-Hospital)」は病人や貧困者、ホームレスなど社会的弱者を受け入れるための施設でヨーロッパで最も古い救貧院の1つです。
 
アーチが美しい入口部分

アーチが美しい入口部分

中の大きなホールには小さく仕切られた170の小部屋があり一部だけ見学することが可能。アーチ状の天井とフレスコ画が美しい入口ホールでは、クリスマスの時期に工芸品の小さな市が開かれます。

<DATA>
■Heiligen-Geist-Hospital
住所: Koberg 11 23552 Lübeck
営業時間:火~日10:00~17:00(冬期は10:00~16:00)月休み
アクセス:マルクト広場から徒歩10分
 

ピースフルな中庭「エギディエンホーフ」

hof1

大規模な福祉集合住宅「エギディエンホーフ」。美しい中庭はピースフルな雰囲気でいっぱい

リューベックの旧市街では路地裏散歩もおすすめ。賑やかな目抜き通りから少し離れてみると石畳の小路にこぢんまりとした家々が並ぶ風景が見られます。
 
秘密の抜け道があちこちに

秘密の抜け道があちこちに

家と家の間に作られた小さなトンネルを通り抜けると、奥に美しい中庭が現れたりしてまるで秘密の花園を見つけた気分。中でも興味深いのが「エギディエンホーフ(Aegidienhof)」という福祉集合住宅。緑あふれる広々とした中庭はピースフルで気持ちのいい空間です。このアパートにはおもにお年寄りや体の不自由な人、低収入者や福祉関係の事務所などが入居。住民同士が助け合って暮らし市民参加型のイベントも開かれるなど、コミュニティ・ケアの場となっています。

<DATA>
Aegidienhof
住所:St. Annen-Str. と Weberstr. の角 が入口
アクセス:マルクト広場から徒歩8分
 

船員組合の家「シッファーゲゼルシャフト」

schiffergesellschaft

16世紀に建てられた船員ギルドハウス。ハンザ都市特有の建築様式が見られる

歴史的な建物が集まる旧市街のなかでも有名なのが、1535年に船員の組合ギルドの館として建てられた「シッファーゲゼルシャフト(Schiffergesellschaft)」。レンガ造りや階段状の破風などハンザ都市特有の建築様式も見どころですが、人気のレストランとなっている内部も必見です。天井から吊り下げられた大きな帆船模型やランプ、船板で作られた重厚なテーブル、アンティークの船具などまるで船の中にいるような独特の雰囲気。ここでは今でも船員たちの会合(飲み会)が定期的に行われています。ガイドが訪れた時も、これぞ海の男! という出で立ちの往年のキャプテンたちが集っていましたよ。

詳細記事>>>リューベックの人気レストラン「船員組合の家」/ドイツ

<DATA>
Schiffergesellschaft
住所:Breite Str. 2  23552 Lübeck
TEL:0451-76776
営業時間:10:00~翌1:00
アクセス:マルクト広場から徒歩7分

続いてはリューベックが生んだノーベル賞受賞者の記念館ほか、見応えたっぷりの博物館をご紹介します。

リューベックが生んだ3人のノーベル賞受賞者の博物館

buddenbrookhaus

トーマス・マンの名作の舞台となった「ブッデンブロークハウス」では、豪商だった一族の暮らしぶりがうかがえる

リューベックは3人のノーベル賞受賞者、トーマス・マン(文学賞)、ギュンター・グラス(文学賞)、ヴィリー・ブラント(平和賞)を輩出した町で、3者3様の見ごたえある博物館や記念館が置かれています。

1929年にノーベル文学賞を受賞したトーマス・マンの代表作『ブッデンブローク家の人々』の舞台となったのは、彼の祖父母が住んでいた家「ブッデンブロークハウス(Buddenbrookhaus)」。現在はトーマスと兄ハインリッヒ(同じく作家だった)のマン兄弟の生涯と作品に焦点を当てた博物館になっていて、内部には豪商だった一族の瀟洒な部屋が一部再現されています。
 
ギュンターグラスハウス (C)LTM

ギュンターグラスハウス (C)LTM

1999年に『ブリキの太鼓』でノーベル文学賞を受賞した現代作家ギュンター・グラスの記念館「ギュンター・グラス・ハウス(Günter Grass Haus)」では、文学だけでなく芸術的才能も併せ持っていたグラス作の絵画や彫刻作品が展示されています。美しい中庭は親交のあった政治家ヴィリー・ブラントの記念館「ヴィリー・ブラント・ハウス」に隣接しています。 2014年の初めに引退を表明したグラスは、今もリューベック在住。もしかしたら、旧市街の路地裏ですれ違う、なんてこともあるかもしれませんね。
→追記:2015年にリューベックの病院で亡くなりました。
 
偉大な政治家ヴィリーブラントの記念館

偉大な政治家ヴィリーブラントの記念館

2007年にオープンした「ヴィリー・ブラント・ハウス(Willy-Brandt-Haus)」は、ドイツで最も尊敬されている政治家にしてノーベル平和賞受賞者の、故ヴィリー・ブラントを偲ぶ記念館兼博物館。ここでは、ワイマール共和国からドイツ再統一にいたる彼の政治人生がマルチメディアによる展示で紹介されていて、同時にドイツの歴史、現代史も学べます。政治や歴史というとつい堅苦しく考えがちですが、この博物館に来たら、誰もが人類共通のテーマ「平和」について感じることがあると思います。入場無料なので、ぜひたくさんの人に訪れてほしい場所です。

詳細記事>>>ドイツの英雄ヴィリー・ブラント博物館/リューベック

<DATA>
Buddenbookhaus
住所:Mengstr. 4 23552 Lübeck
TEL:0451-1224190
営業時間:1~3月11:00~17:00 4~12月10:00~18:00
入場料:大人7ユーロ
アクセス:マルクト広場から徒歩5分

Günter Grass-Haus
住所:Glockengiesserstr. 21 23552 Lübeck
TEL:0451-1224230
営業時間:1~3月11:00~17:00(月休) 4~12月10:00~17:00
入場料:大人7ユーロ
アクセス:マルクト広場から徒歩8分

Willy-Brandt-Haus
住所:Königstr. 21 23552 Lübeck
TEL:0451-1224250
営業時間:1~3月 11:00~17:00 4~12月 11:00~18:00 月休
入場料:無料
アクセス:マルクト広場から徒歩8分
 

貴重な宗教芸術の宝庫「聖アネン博物館地区」

annen1

モダンなギャラリーと元修道院の博物館が合体した「聖アネン博物館地区」。カフェのケーキも人気

2013年、旧市街にある「聖アネン博物館」と「聖アネン・クンストハレ」が合体して「聖アネン博物館地区(Museumsquartier St. Annen)」として新たにオープンしました。入口のクンストハレ部分はガラス張りのモダンなギャラリーですが、中は一転して歴史を感じる重厚な雰囲気。
 
元修道院の博物館

元修道院の博物館

それもそのはず、この博物館はゴシック様式の旧修道院をそのまま展示室として使っているのです。ドイツで最も重要な宗教芸術の1つとされる木彫りの祭壇画や、メムリンクによるキリスト受難を描いた祭壇画など多数の宗教芸術作品のほか、食器や衣類、楽器などリューベックの歴史や市民の生活ぶりがうかがえるコレクションが展示されています。

<DATA>
Museumsquartier St. Annen
住所:St. Annen-Str. 15 23552 Lübeck
TEL:0451-1224137
営業時間:1~3月11:00~17:00 4~12月10:00~17:00 月休
入場料:大人12ユーロ
アクセス:マルクト広場から徒歩8分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます