注文住宅/家づくり物語 実例を通して

家を建てる喜びを実感!上棟工事の実況レポート(2ページ目)

両親宅の新築を連載化したコラムシリーズの第9回目。今回は上棟工事の実況レポートです。現場の作業風景を見ていて、柱と梁を主要構造材として建物を建築する「木造軸組み工法」の基本的な仕組みを勉強することができました。目の前で建物が建ち上がっていく光景は、その場に立ち会わないと分からない感動を秘めていました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


主要構造材「柱」「梁」「筋交い」は、配置の際のバランスが肝心 

上棟工事の途中風景

すべて職人の手作業により、上棟工事は進められていく。

1階の床組みが終わったら、今度は柱建て作業に移り、さらに2階の床組みへと工事は進んでいきました。

現場ではプレカットされた木材を職人さんが1つ1つ組み立てていくのですが、その際、クレーン車が到着し、機械の力を借りて重い建材が組み上げられていくのかと想像していました。ところが実際は、すべて職人による手作業(人力)でした。1本1本決められた位置に資材を配置し、正確かつ効率的に木材を組み上げていました。

そのせいか、寒中にもかかわらず、寒がっている職人さんは誰1人いませんでした。私は凍(こご)えながら作業風景を見学していましたが、中には軽装で作業する大工さんもいて、見ている以上に重労働なのだろうと感じました。

木造軸組み工法は、柱と梁(はり)を主要構造材として建物を建築する日本古来の伝統的な工法です。今では耐震基準の強化により、筋交いも重要な軸材として多用されるようになりました。柱と梁、筋交いを適所にバランスよく配置し、3つの軸材で建物を支えるのが軸組み工法の特徴です。この3つの軸材が適正な太さや長さで、しかも最適な素材を用いて正確に施工されていなければ、経年劣化に負けない長期耐用住宅は建てられません。

細田工務店では、柱と梁には無垢材より強度の高い構造用集成材を使用していました。集成材は変形しにくいため、木造住宅の軸材に適しているそうです。また、柱・梁いずれも太さ105ミリメートル以上の木材を構造計算で算出して使用していました。理想とする“骨太住宅”の実現へと、その第一歩が踏み出された格好です。

2階からの足音(騒音)は、たとえ一戸建て住宅でも気になるもの 

2階の床組み風景

2階の床面が施工されていく途中の風景

翌日には1階と同様に2階の床組みが行なわれ、構造用合板を全体に敷き詰めて、最後に木質フロアーで仕上げられていました。ただ、両親宅の新築工事では2階の床施工に“ひと工夫”されていました。2階の足音が1階に伝わりにくくなるよう、遮音性に配慮した施工がなされました。

1階天井と2階フロアーの間に、強化石膏ボードと高性能グラスウール(断熱材)を敷設したのです。これにより、遮音効果の向上が期待されます。遮音性の向上依頼は、われわれ施主側からのリクエストでした。旧宅(築35年)でのイライラを繰り返したくないとの思いからです。事実、新居では足音による騒音はほとんど気にならなくなりました。

そして、同日の午後には屋根の骨組みを組み立てる小屋組み作業へと進みました。屋根は雨露をしのぐだけでなく、住宅全体を保護し、また、建物のデザインにも影響を与えます。こうした屋根の荷重を支え、勾配(傾斜)を形成する骨組みが小屋組みです。

スレート屋根の写真

わが家の平形スレート葺きの屋根

19年前の阪神淡路大震災(1995年1月)では、重い瓦(かわら)屋根の住宅に被害が多かったと聞いたことがあります。もちろん、原因(因果関係)はそう単純ではないのでしょうが、その点、わが家は平形スレート葺(ぶ)きの屋根が採用されており、軽量化が実現しています。棟木(むなぎ:屋根の頂上部に取り付ける横木)には105ミリメートル角の木材、母屋(もや:勾配の中間部に設置される横木)には90ミリメートル角の木材が使用されており、強固な屋根組みが構成されています。

こうして、わずか2日間で土台の敷き込みから小屋組みまでが終わりました。今、思い返しても貴重な体験でした。マイホームを建てる喜びを実感できた2日間といえます。


次回(第10回)は耐震性能にフォーカスし、両親宅で実際に取り入れられた地震対策に関する施工実例をご紹介します。

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