競馬/競馬関連情報

8月の注目レース~秋への飛躍を誓って~

夏競馬真っ盛りの8月は、秋に向けて急成長する馬が登場する時期。そのポイントとなる「札幌記念」や、600m超の長い直線が特徴の新潟競馬場で行われる「アイビスサマーダッシュ」、「新潟2歳ステークス」などを紹介します。※レースの情報は、すべて2014年7月末時点のものです。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド

秋のG1戦線に向けた、重要な戦い
「札幌記念」

toukei2

2013年の札幌記念を逃げ切り勝ちしたトウケイヘイロー(写真 JRA)

JRAにおけるメインの競馬場は、中山・東京・京都・阪神の四つ。ただし夏場は、この競馬場での開催をお休みし、「ローカル」といわれる脇役的な競馬場を中心にレースを行います。8月の場合は、新潟、小倉、そして札幌がそれにあたりますね。

競馬界にとっては、トップシーズンではない夏場。だからといって甘く見てはいけません。競馬の面白さは、どんな時期のレースでもそれが数カ月後のG1、つまり頂上決戦につながっていること。夏競馬で勢いを付けることでそのまま秋のG1を制す。あるいは、夏競馬のレースぶりで「この馬、秋のG1で面白そうだな」とざわめき立つ。このつながりこそが競馬の面白さなのです。だからこそ、夏競馬は見逃せません。

そして、その面白さを存分に味わえるレースが8月に行われます。G2札幌記念(芝2000m、札幌競馬場)です。

レースの最高位はG1で、その次に位置するのがG2。夏競馬においては、唯一行われるG2レースが札幌記念ですから、各陣営が本気で狙いに来る一戦といえます。しかしそれよりも、この札幌記念を制した馬の多くは、その後のG1で活躍していることが重要。あるいは、すでにG1を勝っている実績馬が、このレースをステップに秋のG1へと向かうケースも見られます。つまり、秋のG1戦線を占う上で見逃せないレースと言えるのです。

1996年のマーベラスサンデーや2010年のアーネストリーなど、後にG1を制す馬たちの飛躍の過程となった年は多数。あるいは、1997年・1998年と札幌記念を連覇した女傑エアグルーヴ。秋に向けて、いつもの先行策とは違う後方からのレーススタイルで勝利をもぎ取った1999年のセイウンスカイなど、G1を多数勝利している馬が強さを見せた年もあります。

夏に行われる唯一のG2レース。その勝利の行方を見守るだけでなく、この結果が秋のG1にどうつながるかを考えるのが、札幌記念の一番の楽しみ方と言えるでしょう。

さらに札幌記念は、稀に「世界最高峰のレース」とされるフランスの凱旋門賞(芝2400m、ロンシャン競馬場)へのステップとなることも。2014年も、G1を5勝しているゴールドシップと、G1桜花賞を制したハープスターが出走を表明。渡仏前の前哨戦として登場する予定です。

札幌記念の勝利から2ヶ月後、一躍G1馬の仲間入り

jordan

札幌記念と天皇賞・秋を連勝したトーセンジョーダン(写真 JRA)

2011年の札幌記念を制したトーセンジョーダン。同馬もまた、この舞台での勝利を糧にして秋に大きな飛躍を遂げた馬でした。

トーセンジョーダンは早くから素質を見せながら、足元の弱さで休養。出世は遅れたものの、元々の能力はやはり高く、復帰後は徐々に活躍。そして2011年の札幌記念を制します。

2011札幌記念のレース映像(トーセンジョーダンはピンク帽の13番)
※リンク先のHIGHかLOWボタンをクリックすると映像が流れます。

着差はわずかでしたが、内容はトーセンジョーダンが力でねじ伏せた“一枚上”のレース。さらに細かく言えば、札幌競馬場は小回りのため、大外からのスタートとなった同馬には少なからず苦しい展開でした。それでもきっちり勝つところに、確かな能力の高さと成長があったのです。

その証拠に、札幌記念から約2ヶ月後、G1天皇賞・秋にてトーセンジョーダンは大仕事をやってのけます。1分56秒1という驚異的なレコード決着を、伏兵ながら制したのでした。

2011天皇賞・秋のレース映像(トーセンジョーダンは緑帽の12番)
※リンク先のHIGHかLOWボタンをクリックすると映像が流れます。

夏の札幌で、外枠スタートから他馬をねじ伏せた競馬。その経験が、同じ距離の大一番に生きたのかもしれません。なおトーセンジョーダンは、続くG1ジャパンカップ(芝2400m、東京競馬場)でも2着と好走。G1勝利がフロックではないことを証明しました。

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます