競馬を語る上で欠かせない「脚質」

競馬は、スタートからすべての馬が全力で走ってゴールを目指すわけではありません。あえて最初はゆっくりと後方に待機し、ゴール前だけ全力を出して追い込んでくるような馬も多くいます。つまり、競馬のレースはシンプルなスピード比べではなく、それぞれの馬がもっとも得意とするレーススタイルを武器に、駆け引きしながら1着を争うものなのです。
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様々な脚質の馬が1着を目指して戦うところに競馬の魅力があります(写真 JRA)


それぞれの馬のレーススタイルは「脚質」と呼ばれ、騎手やスタッフたちが、レースやトレーニングを積む中でその馬にもっとも適した脚質を考えていくのですが、では一体、競走馬の脚質はどのような要素で決まるのでしょうか?


脚質はその馬の「性格」と「長所」で決まる

馬は本来、群れで行動する動物のため、集団における自分のポジションをとても気にします。ちょっと私たちの小学生時代を思い出してみましょう。どのクラスにも、どんな時も先頭で引っ張りたいリーダータイプもいれば、トイレに行く時さえも友達を誘う寂しがり屋の人もいましたよね。

馬はこれがさらに顕著で、いつでも集団の先頭を走りたいリーダータイプや、周りに馬がいないと不安になってしまう寂しがり屋など、それぞれに集団における「お気に入りのポジション」があります。そして、お気に入りのポジションを取れるかどうかで馬の気分はまったく変わってしまうため、騎手たちはレース中、なるべくそのポジションを取って馬を気持ち良く走らせ、最後だけ先頭に立つよう工夫するのです。つまり、各馬のお気に入りのポジションが「脚質」を決めるカギになるんですね。

また、競走馬の中には、最初から先頭集団に加わり、ある程度のペースでコツコツ真面目に走る馬もいれば、前半はなかなかやる気を出さないため集団の後方に置かれ、レース終盤で騎手に一喝されるとやっと集中し追い込んでくる馬もいます。このような、レースに対する馬の取り組み方も、脚質を決める要素になります。

つまり、脚質にはその馬の「性格(競馬では『気性』といいます)」が大きく関わっているということです。

そしてもう1つ、脚質を決める上で重要なことがあります。それは、それぞれの馬が持つ「能力の長所」です。

競走馬の中には、スタートからゴールまで、一定のスピードを持続して走るのが得意な馬もいれば、反対に、長時間は続かないけれど、集中した時には飛び抜けた加速力を見せる馬もいます。そこで、各馬の長所を活かすために、騎手たちは、ある馬には最初から早いペースで走らせようと気合を入れ、ある馬には一瞬の加速力を最大限に発揮させようと、前半は体力を温存して最後に追い上げるスタイルを選択するのです。

総括すると、競走馬の脚質は、馬の「気性」と「能力の長所」で決まっていくといえます。

では、具体的にどのような脚質があるのでしょうか。次ページから、脚質の種類を紹介します。