かわいい民芸で注目されるメキシコ・オアハカ
オアハカのサンマルティン・ティルカヘテ村の祭り風景(C)YOKO SAKURAI
そんなオアハカの魅力をまるごと封じ込めたような本が、2014年5月に出版された櫻井陽子さんの著書『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』(イカロス出版)です。タイトルにある「アルテサニア」とはスペイン語で「民芸品」の意味。オアハカ州の各村々にある民芸品の工房案内をはじめとし、旅行者が気軽に民芸品を購入できるショップや市場、地元の味が楽しめるレストランやカフェの案内、観光のおすすめスポットや行事などを網羅したガイドブックです。美しいオアハカの風景や、優れた民芸とそれを作る人々の誇りが、写真と文で丁寧に綴られ、オアハカへの愛情が伝わってきます。
本書に込められた思いについて、櫻井さんに話をききました。
アルテサニア(民芸品)が生まれる背景に魅せられて
(写真右)ハコボ&マリア・アンヘレス工房によるアレブリヘスのうさぎ。(写真左3点)2014年に開催されたイベント『BONITA OAXACA』のハコボ、マリア夫妻によるワークショップ風景 (C)YOKO SAKURAI
オアハカの彫刻のような石の滝、イエルベ・エル・アグアと櫻井陽子さん
「まだ日本に住んでいた2002年頃、新婚旅行でメキシコのカンクンへ訪れたのをきっかけに、もっとメキシコのことが知りたくなりました。そこから毎年メキシコ各地を旅行するようになったのですが、何人かのメキシコ人に“オアハカは、すごくいいところだから”と薦められて、2005年にオアハカの語学学校へ3ヶ月くらい通ってみたんです。そこで、オアハカの民芸品の豊さや、人々の温かさ、食べ物の美味しさや土地の魅力にすっかりハマってしまいました」
櫻井さんは「必ずオアハカに住む」と心に誓い、日本へ帰国します。そこで、離婚を経験し、日本で半年くらい派遣のバイトをしながら資金を貯めて、2006年6月にオアハカへ戻ったそうです。
そしてオアハカ在住も、今年ではや9年目。現地の民芸品の素晴らしさを日本に伝えるべく、生産者たちとの信頼関係を地道に築いてきました。
さる屋が主催し、2011年6~7月と2014年6月の過去2回に渡って日本で開催された、オアハカ文化を紹介するイベント『BONITA OAXACA(ボニータ・オアハカ)』では、オアハカの先住民族サポテコの村、サンマルティン・ティルカヘテより、動物を象ったカラフルな木彫りの人形=アレブリヘスの巨匠の、ハコボ&マリア・アンへレス夫妻を講師として招き、受講者がアレブリヘスに彩色できるワークショップを行いました。
トゥクステペック地方の村で刺繍する女性 (C)YOKO SAKURAI
メキシコの民芸品には、生産地の自然の姿や、古代からの伝統や風習まで反映されているものが多いので、本書はその刺繍や、織物の柄、模様の意味についても丁寧に取り上げています。それを知ったら、ますます民芸品への愛着も湧くことでしょう。『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』は、キュートな民芸に秘められた物語を知る本でもあるのです。
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